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海外FAの平野佳寿、決断の裏側は?
大切なのは「自分の体を知ること」。
posted2017/12/13 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
オリックスの平野佳寿が、このオフ、海外FA権を行使した。オリックス一筋12年、通算156セーブの守護神の決断の裏には、どんな心の動きがあったのだろうか。
平野は2005年の大学生・社会人ドラフト希望枠でオリックスに入団した。最初は先発で、1年目は7勝11敗と負け越したものの10完投(4完封)するタフぶりを見せつけた。
5年目の2010年からリリーフに転向し、'11年にはパ・リーグ新記録となる49ホールドポイントを記録して最優秀中継ぎ投手に。'13年からはクローザーを務め、'14年にはここでもリーグ新記録の40セーブを挙げ、最多セーブに輝いた。
岸田「あいつと金子の2人は天才ですから」
「そら、行くやろなーと思ってましたよ。アメリカに行ける実力はあるとずっと思ってましたから」と言うのは、平野とともに長年オリックス投手陣を束ねてきた36歳の岸田護だ。
2012年までクローザーを務めていた岸田は、こう語る。
「自分が抑えやってる時から、あいつがほんまの抑えになるのはわかってました。ものが違いますもん。あいつと金子(千尋)の2人は天才ですから。平野はポテンシャルが、プロに入ってきた時からすごかった。体つきもすごいし、球も強い。12球団で平野に勝てる日本人の抑えが今いますか? あいつより上となると(藤川)球児さんとか、佐々木(主浩)さんとか、そのクラスになると僕は思います。見習いたい部分はいっぱいあるけど、真似できない部分がほとんど。見習うというよりは憧れるという感じですね」
150kmを超える力のあるストレートや落差のあるフォークはもちろん一級品だが、岸田が感じる平野の一番のすごさは「体の強さ」だと言う。
「怪我が少ないしとにかく丈夫ですよね。他の人は、いろんなことを吸収しようとガムシャラにやるけど、あいつはたぶん最優先がハッキリしている。それが試合に出続けることなんです」