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ビッグデータを制するのは阪神?
甲子園で高校生のデータ取り放題か。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/12/08 11:10

ビッグデータを制するのは阪神?甲子園で高校生のデータ取り放題か。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今夏の甲子園で1大会最多本塁打を放った中村奨成。彼のような選手が今後出た際、ビッグデータでの解析が進むのかもしれない。

甲子園に設置されれば高校球児のデータが取り放題。

「甲子園球場にトラックマンが設置されれば、あるデータが取り放題になると球界では注目されているんです」

 こう語るのはセ・リーグの別の球団関係者だ。

 あるデータとは、甲子園大会に出場してきた高校球児のそれである。

 高校球児のデータを収集できれば、例えばドラフト1位候補の投手の真っ直ぐの回転数や、投手の能力の1つの指標と言われるSPV(Spin rate Per Velocity、回転数÷球速)などで、各投手の相対評価もできるようになる。また一番大きいと言われているのが、埋もれている逸材を発掘できる可能性があるということだろう。

 例えば球速が140kmに満たない投手でも、真っ直ぐの質をデータから分析して将来の伸び率を予測できる。また変化球の回転数から「真っ直ぐはそれほどでもないがカーブの回転数と曲がる角度が抜群にいい」投手などを見つけ出すことができるということだ。

回転数、角度、曲がり幅など具体的な数値で評価を。

 これまではスカウトの目とスピードガンを頼りにしてきたスカウティングに、回転数やボールの角度、変化球の曲がり幅など具体的な数値が加味され、より客観的な評価が可能になる。打者で言えば、高校生の時点ではパワー不足でも、打球角度などから体力強化をできれば将来的には大砲に育つ可能性のある打者や、その逆も数値として見つけ出すことができる。

 同システムは、スカウティングの秘密兵器になる可能性があるということなのだ。

「トラックマンには持ち運びができる小型のタイプもあり、本来ならばスカウトが地方大会からそういう数値を計測できれば一番いい。ただ、問題はほぼ全球場のバックネットが金属製でトラックマンを金網越しでは使えないということなんです。甲子園球場でトラックマンのデータ計測ができるようになれば利用しない手はない。ただ、球場備え付けのシステムであらゆるデータを収集できる阪神が圧倒的に有利になるのは間違いないでしょう」

 前出の球団関係者はこう語っていた。

【次ページ】 もし大学野球の聖地・神宮にも導入されれば……。

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