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羽生結弦の不在を痛感したNHK杯。
日本勢が17年ぶりにメダルを逃す。 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT

posted2017/11/14 11:00

羽生結弦の不在を痛感したNHK杯。日本勢が17年ぶりにメダルを逃す。<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

怪我というアクシデントは防ぎようがない。平昌五輪へ向けて、羽生自身との新たな戦いが始まる。

全日本選手権には間に合う見込み、との発表が。

 その後日本スケート連盟は、羽生が10日間は絶対安静が必要で、全治およそ4~5週間と診断されたことを発表。

 12月21日から開催される全日本選手権には間に合う見込みで、本人も出場を希望していることを明かした。

 羽生本人は連盟を通し、

「皆様にご心配をおかけし、申し訳ございません。何とか全日本までに間に合うよう、治療・リハビリに努力いたします。全日本ではいい演技が出来るよう頑張ります」とコメントした。

 だが、その際の最大のチャレンジは、本人が納得できる内容の演技になるかどうか、ではないだろうか。

 ジェイソン・ブラウン、ネイサン・チェンなど、ライバルたちからも続々と早い復帰を願うメッセージがよせられた。今おそらく日本中、いや世界中のファンたちが一日も早い回復を願って祈っているに違いない。

30歳のベテラン、ボロノフ12年目の初優勝。

 羽生もチェンも不在の男子で、それではジェイソン・ブラウンが初タイトルを手にするかと思った筆者の予想はみごとにはずれた。

 GP大会初優勝をきめたのは、ロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフだった。スケートファン以外にとっては馴染みのない名前かもしれないが、彼は決して無名の新人ではない。

 2006年世界ジュニアで2位になり、翌シーズンシニアに上がってきたときは将来を期待される新人だった。だが怪我などもあり、長い間伸び悩んできた苦労人である。

 バンクーバーもソチも五輪出場を逃し、それでも欧州選手権では2度表彰台に上がり、2014年NHK杯では2位になって進出したGPファイナルでは3位に入賞した。

 4回転はルッツやフリップなどの新兵器は持っていないものの、4回転トウループを若い頃から安定して跳んできた。30歳になった現在も、実直に安定した演技を見せ続けてきたのである。そして今回、シニアGP大会デビュー12年目にして、初のタイトルを手にした。

「出せるものを全て出しきることが出来た。高揚感で満たされています」と会見で嬉しそうに語った。

【次ページ】 今年の男子では、ベテラン勢が表彰台を制した。

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