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運と偶然に溢れた10万本の本塁打。
数え間違い、踏み忘れ、メモリアル。

posted2017/10/08 08:00

 
運と偶然に溢れた10万本の本塁打。数え間違い、踏み忘れ、メモリアル。<Number Web> photograph by Kyodo News

うっかりのベース踏み忘れが、まさか10万号本塁打への伏線になる……とはマレーロも思ってもみなかっただろう。

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Kyodo News

 このほど、日本プロ野球は通算10万本塁打を記録した。めでたいことである。何が? と問い詰められれば答えに窮するが、とにかくめでたい。

 そもそも、日常生活で「まんぼん」という語感の言葉を使うことはあまりない。私などすぐにクレイジーキャッツの「飲んだビールが5万本(『五万節』より)」というフレーズが頭に浮かんでくる。

 10万本というのは、凄い数字だ。仮に本塁打の滞空時間を5秒として、10万本を頭から尻尾までずーっとつなげて見れば139時間、5日と19時間近くぶっ続けで見なければならない。その間、プロ野球ニュースの「今日のホームラン」のテーマ曲『Vibrations』が「♪チャラッチャーララ~」と鳴り続けたら、頭がどうかしそうだ。

藤井勇の第1号はランニングホームランだった。

<日本プロ野球・10万本までの道のり>

1本:藤井勇 大阪(1936年5月4日、セネタース戦、甲子園球場)
10000本:渡辺清 阪急(1957年7月19日、近鉄戦、大阪球場)
20000本:井石礼司 東京(1966年7月6日、近鉄戦、東京球場)
30000本:基満男 太平洋(1973年5月20日、近鉄戦、平和台球場)
40000本:ウイリアムス 阪急(1979年6月28日、ロッテ戦、西宮球場)
50000本:仲根正広 近鉄(1985年4月23日、南海戦、藤井寺球場)
60000本:広永益隆 ダイエー(1990年9月26日、オリックス戦、西宮球場)
70000本:駒田徳広 横浜(1997年9月9日、巨人戦、東京ドーム)
80000本:ペタジーニ 巨人(2003年9月14日、ヤクルト戦、東京ドーム)
90000本:ブラウン 西武(2010年4月4日、日本ハム戦、札幌ドーム)
100000本:マレーロ オリックス(2017年9月29日、ロッテ戦、ZOZOマリン)

 記念すべき第1号は、左打者藤井勇の甲子園の左中間を破るランニングホームランだった。

【次ページ】 “2万号”を放った助っ人は記念品をもらったが……。

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