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モヒカン頭なのに常識人の若頭。
ハムシクと武闘派ナポリ、結束せよ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2017/09/22 07:00

モヒカン頭なのに常識人の若頭。ハムシクと武闘派ナポリ、結束せよ。<Number Web> photograph by Getty Images

昨季までの在籍10シーズン、リーグ戦では357試合に出場して93得点を記録。マラドーナがいた1990年以来のスクデットを狙うチームの“顔”だ。

ダービーで怒涛の6ゴールを奪って再スタート。

 本拠地サン・パオロに最下位ベネベントを迎えたナポリは、キックオフ直後から怒涛のように攻め立てた。

 3分にMFアランが早速先制弾を見舞うと、15分にはインシーニェが芸術的ループショットで追加点。さらにメルテンスとFWカジェホンのゴール競演で、課題とされていた前半だけで4得点と爆発した。

 後半にもメルテンスのPKで2点を追加したナポリは、計6ゴールを奪って完封勝ちを収め、シャフタール戦での敗戦から再び力強く立ち上がった。

 主将ハムシクは試合終了のホイッスルを今季初めてピッチ上で聞いた。前半の大量得点のうち3ゴールは、彼の左サイドから生まれたものだ。自身もゴールを積極的に狙い、周囲もスランプ脱出を図る主将に見せ場を与えようとボールを集めた。ゴールはお預けになったが、今季初めてフル出場したことで、つかんだ充実感は大きかった。

「シャフタールに敗れた後すぐに勝つことが大事で、俺たちはそれをやり遂げた。チーム全員でナポリの力を見せられたよ」

指揮官から「マレクにPKを蹴らせろ!」

 90分にPKが宣告され、キッカーのFWメルテンスがスポットに向かおうとしたときのことだ。指揮官サッリはたまらずベンチから叫んだ。

「マレク(・ハムシク)にPKを蹴らせろ!」

 ベンチから近い場所にいた主将には、監督の怒号が聞こえていたはずだが、彼は聞こえないふりをした。チームのエースがハットトリックを達成することを優先させたのだ。
主将は試合終了後もチームメイトを労い、対戦相手への礼を欠かなかった。満員のサン・パオロは気配りの男ハムシクを称え、その名をコールし続けたのだった。

 試合後PKを譲れと怒鳴ったのは、ハムシクが1点決めればマラドーナの得点記録に並ぶと勘違いした自分の誤りだった、と認めながら、サッリは前半から見せた試合への果敢なアプローチに満足気だった。

【次ページ】 「ワシにとって、ハムシクは“フオリクラッセ”」

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