「ワシにとって、ハムシクは“フオリクラッセ”」

　指揮官は、秋を迎え本格化するCLとの並行戦線で鍵を握る中盤のターンオーバーについても考えを巡らせ始めている。相手の研究対策も進むだろうが、そのときはプレー速度のギアを上げる。どんな場合でも主将への信頼は不変だ。

「ワシにとって、ハムシクは“フオリクラッセ（＝超一流選手）”、代役はおらん。どんな選手にもコンディションの波はある。不調のときにクラブやワシが批判からかばってやらんでどうする？」

　スランプ脱出の糸口をつかんだハムシクは、遅かれ早かれマラドーナの通算得点記録を塗り替えるにちがいない。

　12月初旬に控えるユーベとの直接対決までには、まだ時間がある。弱点を克服し、ナポリの攻撃サッカーはさらに熟成が進むだろう。本音を吐かない仏頂面の親分の心情は、若頭が知っている。

「ああ見えて、誰よりスクデットが獲れると信じているのは監督なんだよ」