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ラグビーの代表戦が軽くなっている?
監督が衝撃を受けた、悪しき「慣れ」。

posted2017/06/26 13:40

 
ラグビーの代表戦が軽くなっている?監督が衝撃を受けた、悪しき「慣れ」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

36歳トンプソンルークの存在感は際立っていた。ギアを入れる能力というのはW杯の経験か、個人の資質か……。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Takuya Sugiyama

 ラグビー日本代表と、アイルランドのテストマッチ第2戦。

 結果は13-35で、アイルランドの完勝。日本は各所で雄々しく抵抗を見せたが、実質、前半で8-28と点差が開き、大勢が決してしまったのは残念だった。

 それでも示唆に富み、考えさせられることが多い試合でもあった。

 ジャパンは静岡での第1戦とは違い、最初から「激しさ」を見せた。

 開始2分、ロック不足により試合直前に緊急招集された「2015W杯戦士」のトンプソンルークが強いタックルを相手に見舞い、2人目の松橋周平が素早く寄って、3人目に到着した松島幸太朗が激しく相手を押し切り、教科書通りのターンオーバーを奪った。

 しかし、不運なことに逆襲に転じてすぐ、アマナキ・レレイ・マフィからのパスが乱れ、そこをアイルランドのセンター、ギャリー・リングローズに拾われ、先制トライを許してしまう。

 激しさは報われず――。

 この試合はレフェリングを含め、終始、そんな思いを抱かせた。

ジェイミー・ジョセフがショックを受けた選手の姿勢。

 それにしても第1テストと第2テストで、ジャパンのプレーには、なぜ雲泥の差が生まれてしまったのだろうか?

 1戦目の後、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、「最高の準備が出来た」と話したうえで、「選手に、貪欲に死に物狂いで勝ちにいく姿勢が足りなかった」と選手たちの「マインドセット」に疑問を投げかけた。

 テストマッチには全身全霊で挑むのが、ヘッドコーチの母国ニュージーランドでは当然のことだ。日本の選手たちがフワッと試合に入ってしまったのを見て、コーチとすればショックだったのではないか。

【次ページ】 田中史朗「海外と試合することに慣れてしまったのかな」

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田中史朗
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