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青学・原晋監督が強調した「垣根」。
マラソン強化のために必要なこと。
posted2017/06/13 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
6月7日、日本陸上競技連盟は、青山学院大学で2020年の東京五輪に向けたマラソン強化を目指し、実業団や大学の指導者らを集め「キックオフミーティング」を開催した。2020年の東京五輪でのメダル獲得のために開かれたものだ。
第1部と第2部に分かれ、メディアに公開した第2部では、青山学院大学監督の原晋氏を進行役とし、マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏、五輪強化コーチの坂口泰氏、山下佐知子氏らが登壇。ときに会場の指導者らの声を交え、パネルディスカッションを行なった。
冒頭、リオデジャネイロ五輪での各競技の映像が壇上のスクリーンに映され、男女マラソンのハイライトも流れた。その後、文字が浮かび上がった。
「世界の進化は止まらない」
「立ち止まっている時間はない」
その後に原氏から、世界記録と日本記録の差は、2002年は38秒であったのに現在は3分19秒と大きく差が開いたことが説明され、「なぜこんなに差が開いたのか」と問いかけることから議論は始まった。
中体連、高体連、実業団、陸連がバラバラ。
進行する中で原氏は、「勤勉な国民性+論理的な練習計画、医療スタッフの充実、充実した合宿地や施設といった面では世界でも優れている」とした上で、課題は組織体制にあると定義した。具体的には、中体連、高体連、実業団、陸連それぞれが個々に動き、組織立っていないことをあげた。
それに対して、山下氏はこう応じた。
「世代ごとの育成プランにもう少し枠を作って、現場に浸透させるべきだと思います」
「心肺機能も影響しますが、腱やばねなどフィジカルをもう少し鍛えないと。社会人になってから取り組むようでは」
さらに会場にいたDeNAランニングクラブの強化を統括する立場であり、下部組織を立ち上げ、そのヘッドコーチも務める田幸寛史氏も、こう語った。
「ジュニアから一貫指導が必要だと思って始めましたが、一貫指導をする前に、いつ、どこを鍛えればいいのか、分からないんですね。質問を誰にしても答えがないんです」