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プロレスとファン投票の複雑な関係。
猪木&馬場から、1.4のメインまで。

posted2017/05/30 07:30

 
プロレスとファン投票の複雑な関係。猪木&馬場から、1.4のメインまで。<Number Web> photograph by AFLO

アントニオ猪木とジャイアント馬場。日本プロレスの2大巨頭が1つのリングに立つ驚きは、当時いかほどだっただろうか。

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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 7月10日発売予定のNumberPLUS「プロレス2017(仮)」の表紙を飾るレスラーをファン投票で決める「プロレス総選挙」。いよいよ5月31日(水)に投票締め切りとなるが、5月18日の最終中間発表の時点で、その投票者数は2万5000人超えと大きな反響を呼んでいる。

 Numberでは、2015年のプロレス特集号でも総選挙を行っているが、その時の総投票人数は1万1356人。2015年は「新日本プロレス」限定、今回は「日本で試合をしたことがあるすべての現役レスラー」と選考基準は違うものの、注目度は大幅にアップしていると言っていいだろう。

 また、今回は得票数1位のレスラーが表紙になるだけでなく、「上位10位までに入った選手は必ず誌面に掲載」という公約も効いている。これによって、“新日本のひとり勝ち”と言われる今の状況下にあっても「10位以内なら可能性がある」と、各団体のファンが積極的に自分の推すレスラーに対し投票。それが総投票数の底上げに繋がっているのだ。

 この“民意”が直接反映される「ファン投票で決定」というかたちは、日本のプロレスの歴史を振り返っても、たびたび行われている。

馬場&猪木の相手を決めた1979年のファン投票。

 最も有名なのは、なんと言っても'79年8月26日に日本武道館で行われた『プロレス夢のオールスター戦』のメインカード、ジャイアント馬場&アントニオ猪木の対戦チームを決めるファン投票だろう。

 東京スポーツ新聞社創立20周年記念として、新日本プロレス、全日本プロレス、国際プロレスという、当時の(女子を除く)全団体が集結したこの大会。多くのファンは馬場と猪木、両巨頭の直接対決実現を望んだが、'70年代と言えば新日本と全日本の“冷戦”真っ只中。特に猪木・新日本から、度重なる“口撃”を受けてきた馬場は態度を硬化させており、対戦は事実上不可能だった。

 そこで主催の東スポが代替案として、馬場&猪木のタッグ結成を打診し、両団体ともに「プロレス界発展のため」とこれを了承。“日本プロレス史上最強タッグ”と言われた馬場&猪木の“BI砲”8年ぶりの復活が決定し、その対戦相手は「ファンの夢を叶えるため」として、投票で決めることとなったのだ。

【次ページ】 「馬場さん、やりましょう!」「よし、やろう!」

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