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柳田将洋「このままでは埋もれる」。
男子バレーで海外移籍、プロ転向。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2017/05/23 11:30
柳田も選出されている全日本男子。今年度最初の国内での試合は6月9日からのワールドリーグ高崎大会となる。
プロ契約であるベテランにアドバイスを受けて。
特に同じチームで、すでにプロ契約選手としてプレーしている酒井大祐には幾度も話を聞いたという。
「遠征先のホテルの部屋で2人きりで話をすることも多かったですね。プロとはどういうものか、酒井さんの見解を聞いて徐々に気持ちが固まっていったのは事実です」
酒井はJTに入社して3年目の2006年、JTを退職しプロ契約を結んだ。2015年にJTサンダーズを創部84年目にして初めてのVリーグ優勝に導いた後、サントリーへ移籍し柳田とチームメイトとなった。プロとして10年以上、プレーを続けてきた35歳のベテラン選手である。
柳田は振り返る。
「一昨年(2015/2016年V・プレミアリーグ)は僕が入社1年目で、酒井さんもサントリーに来て1年目。負けが込んだ厳しいシーズンでした。その苦しい中、酒井さんがどういう考えでバレーをやっているのかを聞いて感化されたのが大きかったと思います。酒井さんは勝つことに対してすごくこだわりを持っていて、かつ自分のポジションを確立するためにもこだわって、それを意識して毎日を過ごしている。プロの酒井さんは誰よりも練習していると思ったし、自分もこうあるべきだと思いました」
プロとしてやっていくだけの覚悟が自分にあるのか。
同時に、プロ宣言に至るまでには迷いもあったと明かす。
「酒井さんの姿を見て“自分にも同じことができるのか?”と思いましたし、酒井さんの姿勢を見てきたからこそ、簡単にはプロになれないと思っていました」
プロとしてやっていくだけの覚悟が自分にあるのか。自問自答を繰り返して現在に至ったと語る。
2015年のワールドカップで大ブレイクした柳田だったが、チームに戻ればレギュラーの座を約束されているわけではなかった。昨シーズンも22試合に出場をしたものの、守備の中心はリベロと、柳田の対角に入る藤中謙也だった。レセプションが安定せず、フォーメーションから外される場面もあった。後衛に回ったときに、レセプションの得意なリリーフレシーバーと交代するシーンも多く、柳田が得意とするビック攻撃(後衛中央からのスパイク)は見せ場を失った。