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浅野拓磨、ドイツ移籍後初の2得点。
野心をかき立てる久保裕也の存在。
posted2017/04/12 11:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
およそ4カ月ぶりとなる“ジャガーポーズ”を、シュツットガルトの浅野拓磨が披露した。4月9日に行なわれたブンデスリーガ2部のカールスルーエ戦で、昨年11月28日以来のゴールをマークしたのだ。
しかも、移籍後初のドッペルパック──1試合2ゴールである。チームも2-0で勝利をつかんだ。
192cmのシモン・テロッデを軸に戦術を組み立てるシュツットガルトは、彼を最前線に置いた4-3-3と4-2-3-1を併用する。テロッデの後方に位置するサイドアタッカーでは、ここまで6得点7アシストのポルトガル人カルロス・マネがハネス・ボルフ監督の信頼を集める。2得点4アシストだった浅野は、1月に加入したアメリカ代表ジュリアン・グリーンとポジションを争う立場となっていた。
浅野にとって幸運だった、逆サイドの選手起用。
ところが、マネの負傷離脱で浅野にチャンスが巡ってくる。4月5日の1860ミュンヘン戦で、3試合ぶりにスタメン起用されたのだ。4-2-3-1の右サイドからゴールをうかがうものの、0-1と追いかける展開で61分に交代を命じられてしまう。
専門誌『キッカー』の採点は、両チームを通じてワーストだった。実際にそのパフォーマンスは、誰にとっても納得できるものではなかった。
続く9日のカールスルーエ戦、浅野は再び「3の右サイド」で先発する。22歳の日本代表にとって幸運だったのは、ボルフ監督が「3の左サイド」にグリーンではなく、アレクサンドル・マキシムを起用したことだった。
浅野と似通ったタイプのグリーンは、個人で仕掛けるプレーが多い。一方のマキシムは、コンビネーションでの崩しやラストパスを得意とする。
数的優位を作り出すために、左サイドバックのエミリアーノ・インスアやトップ下のクリスティアン・ゲントナーがマキシムに絡んでいく。左で作って中央(テロッデ)か右(浅野)で仕留めるというイメージを、チーム全体が描きやすいのだ。