リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
柴崎岳と対照的な乾貴士の順応。
スペイン好みの“我”を出してこそ。
posted2017/02/18 07:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
リーガ2部テネリフェに移籍した柴崎岳のデビューが遅れている。
2月1日に行われた入団会見で「できるだけ早く試合に出られる状態にする」と宣して翌日、大勢のファンが見守る中、チームの練習に初参加。以後、特にフィジカルトレーニングに時間を割き、休日も汗を流して体づくりを進めていたが、「胃の不調」で7日の練習を休むと、次に届いたニュースは10日の「柴崎、日本への帰国を希望」だった。
報じたマルカ紙のラジオ番組によると、サハラ砂漠と同緯度にあるテネリフェ島での暮らしに馴染めないというのが理由だ。
クラブは柴崎がまだテネリフェ島にいることや、体調の回復に努めていることをSNSを用いて直ちに発信して「退団の意思」を否定したが、新生活への順応に問題が生じていることは認めている。チームのメディカルスタッフは不安障害の可能性を見極めるべく専門医による診察を提案しているという。
望んで招いたわけではないにせよ、今季いっぱいの契約しか結んでいない柴崎にとっては全くよろしくない事態だ。
柴崎はテネリフェ側が探し求めた選手ではない。
なにしろ彼はテネリフェ側が探し求めた選手ではない。マルティ監督が欲していたのは別のタイプであり、柴崎の獲得は売り込みがきっかけだったことを強化担当のアルフォンソ・セラーノが明らかにしている。
「代理人からのコンタクトを受け、監督と共に検討し、OKという答を出した。今季のチームにはいないタイプで、複数のポジションをこなす。チームのレベルを一段上げてくれるかもと考えた」
言い換えれば、今のテネリフェにとって「絶対に必要な駒」ではないということ。
そしてテネリフェはここ5試合無失点で、決して大きなものではないにせよ波に乗っている。第25節を終えて順位は昇格プレーオフ出場圏内の5位だ。