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センバツに漂う“打高投低”の予感。
清宮、安田以外の好選手を一挙紹介!
posted2017/02/14 08:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Hideki Sugiyama
3月19日に開幕する第89回選抜大会出場校を見て、今大会は“打高投低”になりそうだと思った。2015、2016年の過去2年、勝利チームの得点が3点以内だった試合はともに11試合あり、これは“投高打低”を表している。逆に2012、2013年はそれぞれ7試合、5試合と少なく、“打高投低”を表している。
その中で今大会は後者に近い傾向になると予測する。まず2016年11月に行われた秋の全国大会、明治神宮大会の戦い方から見ていこう。なお、学年は新学年で表記している。
優勝候補筆頭は明治神宮大会優勝校、履正社だ。早稲田実業と激突した決勝では3回にドラフト1位候補、安田尚憲(3年、三塁手)が初球のストレートをレフトスタンドに放り込み3ラン、4回には7番・片山悠(3年、捕手)が3ランを放ち、一発攻勢の迫力が強く印象に残った。
作戦面でも強気の姿勢が際立つ。1対1で迎えた3回は無死一塁で1番打者が、4対6と勝ち越された4回表は9番打者がいずれも打って出た。これが3回に3点、4回に7点を奪うビッグイニングの突破口となった。
履正社・若林、早実・野村の打力も注目に値する。
安田の新チームになってからの公式戦成績は打率.420、本塁打4、打点22と3部門とも安定して高い。この安田を打率.452、打点24の両部門で凌いでいるのが4番若林将平(3年、左翼手)で、早実戦の4回表には内角低めをうまくさばいて三塁線を抜くタイムリーを放っている。
履正社に敗れた早実もドラフト1位候補、清宮幸太郎(3年、一塁手)を擁しているだけあって強気だ。1対4でリードされた3回裏、無死二塁の場面で2番打者に強打させた。これがセカンドのエラーを誘い、続く清宮がタイムリーヒットを放つ。続く4番・野村大樹(2年、三塁手)の二塁打で二者が生還した。
成績面も清宮だけが突出しているのではない。野村は本塁打こそ清宮の5本に1本及ばない4本だが、打率.459、打点18は清宮を凌いでいる(清宮は打率.412、本塁打5、打点14)。