マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
“打高投低”センバツの2年生3人。
大阪桐蔭、履正社の隠れた超高校級。
posted2017/03/14 11:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
センバツの組み合わせが決まって、WBCも合わせて球春いまやたけなわ、今年はいつもの年より、春先から野球界が何かとにぎやかな盛り上がりを見せている。
例年になく“打高投低”の前評判が流れる今年のセンバツ。
出場各校のメンバーを見渡してみると、確かにその傾向ははっきりとしていて、早稲田実業・清宮幸太郎、履正社・安田尚憲は打って当たり前。逆に、低く見られている“投”のほうに、オオッと身を乗り出したくなるような隠れた逸材を期待する思いも大きい。
いない、いないと言われても、必ず出てくるのが高校野球であり、甲子園なのだ。
すでに、何人もの球児が大きな活字で報道されている中で、「ちょっと待った!」と言いたくなるようなもう1人の逸材。
同じチームに潜んでいるそんな存在をお伝えして、2017センバツの興味がさらに高まっていただければ。
そんな思いで、まずは大阪の2チームから始めよう。
医師の道と甲子園の間で悩み……。
大阪桐蔭は昨年のチームからレギュラーのほとんどが卒業し、メンバーがガラッと変わった。
今回のチームには新2年のレギュラーも何人か顔を並べ、その中でも注目は外野手・根尾昂(2年・177cm76kg・右投左打)だ。
全国の強豪校による争奪戦は、それはすごいものだったという。将来は医師に……という思いと、甲子園、プロ野球という夢との間で揺れ動いた末に選んだ球児の道。今のところは、本人の想定どおり順調に進んでいるのではないか。
とにかく、何をさせてもサマになる。走攻守、そして投。どんなプレーでも身のこなしが鮮やかでスピーディー。さらにしなやかでバランスが美しく、だから精度が高い。
こういう選手が本当の“スーパー”なのだろう。故障さえなければ、来年は間違いなくドラフトの目玉の1人に台頭してくる逸材だ。
その大阪桐蔭の2年生に、もう1人、根尾昂とはひと味違った個性を発揮する逸材を見つけた。