バレーボールPRESSBACK NUMBER
バレー会場問題の陰で強化が凍結中。
日本人ありきの男子監督選考に疑問。
posted2016/12/09 19:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
有明アリーナか、横浜アリーナか。2020年東京五輪のバレーボール会場が世間の注目を集めている裏で、全日本男子の監督問題がほったらかしになっている。
10月25日、日本バレーボール協会は、元全日本のエースで現在は堺ブレイザーズの部長を務める中垣内祐一氏が日本代表の新監督に内定したと発表した。しかしその約2週間後の11月9日、中垣内氏は車の運転中に人身事故を起こし、それ以来活動を自粛している。
このまま続投するのか、あるいは辞退するのか、日本協会が何らかの処分をくだすのか。何も決まらないまま1カ月が過ぎた。
本来ならすでに選手選考が始まっていなければならないが、新監督が活動を自粛しているうちに、V・プレミアリーグはレギュラーラウンドの約半分が終了し、大学生を選考する上で重要な全日本インカレは終わってしまった。
開いた世界との差を埋めるには、外国人指揮官しか……。
そもそも疑問の残る監督選考だった。
就任記者会見で中垣内氏は、「挑戦する限りはメダルを獲りたい」と東京五輪の目標を語ったが、日本は'12年ロンドン、今年のリオデジャネイロと2大会連続で五輪出場を逃しており、世界のトップには大きく水をあけられている。今年5月から6月にかけて行われたリオ五輪世界最終予選では2勝5敗、8チーム中7位の惨敗だった。
高さとパワーだけでなく、サーブやスパイクの技術、守備やつなぎの精度、組織や戦術の緻密さなど、本来小柄な日本が上回っていなければならない部分でも海外のチームに先を行かれていた。
これはもう、国際舞台での実績豊富で、数多くの引き出しを持った外国人指揮官に日本を引き上げてもらうしか、東京五輪までの短い時間で世界との差をつめる方法はないという印象だった。
V・プレミアリーグでも過去2シーズン、豊田合成のアンデッシュ・クリスティアンソン監督、JTのヴェセリン・ヴコヴィッチ監督という経験豊かな外国人監督がチームを初優勝に導いている。