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今季の箱根は青学の独壇場なのか。
出雲駅伝で感じた「新3強時代」。
posted2016/10/11 12:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
2016年、大学駅伝界は「パラダイム・シフト」が進行中だ。
青山学院大が2連覇を達成した出雲駅伝、「青学時代」を強く印象づけたのは間違いない。そして記者室では「新3強」という言葉がささやかれた。
新3強のひとつは、もちろん青学。今年も間違いなく強い。
そしてこれから力をつけて行きそうなのが、1区から3区まで1年生を並べ、優勝争いに絡んだ東海大。
加えてもう1校は、2013年の全国高校駅伝で優勝した山梨学院大附から内部進学した選手が成長し、留学生ニャイロを持つ山梨学院大。
少なくとも今季、そして来年とこの3校が大学駅伝界をリードしていくことは間違いない。
それに対して、長らく駅伝の中心にいた駒大は今回5位、東洋大が9位と厳しい結果に終わった。明らかに戦力のシフトが起こったのだ。
三冠がグッと近づいた青学、今季は独壇場?
今季に関していえば、青学大の独壇場になる可能性がある。
昨年度は全日本大学駅伝で2位に終わり、2010年度の早大以来となる「三冠」は逃したが、今季はミスが許されない出雲で優勝したことで、三冠がグッと近づいた。全日本、箱根を得意とする駒大と東洋大の戦力がダウンしており、相対的な力の比較を見ても、かなり優位といえる。
陣容を見ると、4年生の一色恭志(東京マラソン日本人3位)、主将の安藤悠哉がチームの中心となり、ムードが良い。下級生の台頭もあって組織としてのバランスが取れているのも魅力だ。原晋監督は、「学生主体での運営が軌道に乗ってきました。組織として強くなっている手応えをつかんでいます」と話す。もはや、簡単に崩れるようなチームではなく、「名門」の地位を着々と築きつつある。