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「ウッシーコール」は今も変わらず。
シャルケと内田篤人、相思相愛の今。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2016/10/04 16:30

「ウッシーコール」は今も変わらず。シャルケと内田篤人、相思相愛の今。<Number Web> photograph by AFLO

プロは厳しい世界である。内田篤人がここまで手厚いケアを受けるのは、これまでに積み上げたものがあればこそなのだ。

「俺の脚は、教科書に載っている骨とは違ったんだよね」

「今回は、俺本来の正しい位置に戻すリハビリをやっている。これで負荷に耐えていけるかはまだわからない。でも今のところはやれているから、これで行くしかない。痛みがぶり返さなければいいけれど、それは俺にもわからない。スゲー実験だったよね、この1、2年は。これは痛くないんじゃないか? こうやったほうが腫れが引くんじゃないか? その連続。正解がないから」

 人間の身体は人それぞれに違う。正しいと思う方向へ向かっていても、それが完治というゴールに到達しないことも当然ある。

「俺の脚は、教科書に載っているような骨とは違ったんだよね」

 ドイツと日本とで、様々なスタッフのもと試行錯誤を繰り返し、ひとつの明るい兆しがつかめた。

 しかし、試合に復帰し、プロサッカー選手、シャルケの一員として活躍するというゴールまでの道のりはまだまだ長いだろう。想像もつかない困難が待っているかもしれない。それでも先へ進む。それしか今は考えられない。

「痛みがなけりゃ、それでいいんだよ」

 そう言って階段を上り、出口へと向かう内田の後ろ姿を見送りながら、小さな一歩でも構わないから、前進できることを祈った。

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