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ボールを持ったら大迫勇也を探せ。
「2トップなら絶対負けない」FWに。
posted2016/10/03 18:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
「ゴールを決められる、ストライカーとしての怖さを示して、自分に対する認識を変えなくちゃいけない」
レスターの岡崎慎司は常にそう繰り返してきた。先発リストから名前が消えた現在はもちろんだが、守備力や運動量などが評価されていた昨季も「そういうところを評価されるのは危険だ」と言い、FWとしての存在価値を示そうと戦っている。
昨季に続き今季も先発出場を続けるヘルタ・ベルリンの原口元気だが、守備に奔走させられ、攻撃での仕事がなかなかできない現実のなかでもがいている。攻撃時にパスすら出てこない。9月24日のフランクフルト戦も10月1日のハンブルガーSV戦でも、原口の状況は同じだった。
「どうやって攻撃で力を出せるのか、というのは常に考えている。でも今日も、後半はほとんどチャンスがない状況だった。一番のチャンスはイビセビッチやシュトッカーに集まる。変な話、アシストを増やしていったほうが良いのか、と言う考え方もある。自分がやるべき守備やボールを繋ぐという仕事は問題なくやれているし、でもそれは去年から出来ていること。今年はその先の一個、何かやることを目指しているので、それがなかなか出来ず、悔しいですね」
武藤も、宇佐美も欧州でもがいている。
試合出場機会を得ようと、ある種の便利屋としての任務をこなす。それは破壊力抜群のストライカーが持ち合わせない、日本人の選手ならではの強みを発揮することでもある。しかし、そこで留まりたくないと彼らは今、試行錯誤を続けている。
怪我による長期離脱から復帰したマインツの武藤嘉紀は9月29日のヨーロッパリーグで1ゴールを決め、先発入りに大きくアピールしたものの、その試合で右ひざの負傷が再発してしまう。アウクスブルクに移籍したばかりの宇佐美貴史は、ベンチ外が続いていたが、9月29日の試合前日練習で負傷。両者は代表も辞退することになった。