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不遇のカンテラーノが不動の右SBに。
アウベスの後継者、セルジ・ロベルト。

posted2016/10/01 08:00

 
不遇のカンテラーノが不動の右SBに。アウベスの後継者、セルジ・ロベルト。<Number Web> photograph by Getty Images

本来のポジションは中盤のセルジ・ロベルトだが、複数ポジションをこなせる器用さでバルサでの立ち位置を確立した。

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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 長年バルサ幹部たちを悩ませてきたダニ・アウベスの後継者探しが、こんな形で落ち着くとは思わなかった。

 2008年に加入してほどなく、右サイドでメッシと阿吽のコンビネーションを築いたアウベスは、バルサにとって替えのきかない唯一無二のピースであり続けてきた。

 ピッチ外での正直すぎる発言により度々フロントの不信感を買っていたにもかかわらず、近年は毎夏のように移籍を匂わせ、クラブに望み通りの契約更新の条件を飲ませることができていたのも、彼の代役となり得る人材が見つからなかったからに他ならない。

 しかもシーズンを通してほぼ全試合にフル出場してしまう鉄人だったため、実戦で代役候補を育てることもままならなかった。トップチームに昇格した2011年夏より、4シーズンにわたって飼い殺し状態が続いたマルティン・モントーヤはその犠牲者だったと言える。

“外れ新戦力”よりセルジ・ロベルトのコンバート。

 結局アウベスは、昨夏に取り付けた契約条件により移籍金ゼロでユベントスへ去っていった。世界最高の右サイドバックを無償で放出したバルサの交渉下手さ加減には呆れる他ないが、少なくとも後継者の目処がついていたことは救いだった。

 バルサは昨夏、いつ出て行くか分からないアウベスの代役として、セビージャからアレイクス・ビダルを獲得した。一昨季にブラジルから連れてきたドウグラス・ペレイラはろくに試合に出ていないのに負傷離脱を繰り返しており、戦力として全く当てにならなかったからだ。

 しかし当時はまだFIFAから課された補強禁止処分のさなかにあったため、ビダルの選手登録は年明けまで待たなければならなかった。そこでルイス・エンリケが考えたのが、出場機会に飢えていたMFセルジ・ロベルトのコンバートである。

【次ページ】 不遇のカンテラーノにようやく巡ってきたチャンス。

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