ニッポン野球音頭BACK NUMBER
優秀な防御率と6~7回の大量失点。
ラミレス監督の葛藤が見える継投策。
posted2016/05/05 09:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
NIKKAN SPORTS
DeNAが早くも正念場に立たされている。
5月1日終了時点(以下同)で、9勝19敗2分の最下位。セ・リーグは4位の阪神までが貯金生活、5位ヤクルトも負け越しは1つだけだ。要するにDeNAがリーグの借金をほぼ一手に引き受ける状況が生まれているのだ。
一番に目を引くのはチーム打率の低さだろう。延長を含む30イニングで1点しか取れずに終わった中日3連戦(4月5~7日)の頃に比べれば得点力はやや上向きつつあるとはいえ、好調の波に乗っているとは言い難い。故障で出遅れていた梶谷隆幸がようやく復帰という時に、今度は大黒柱の筒香嘉智が右腹斜筋の軽度の肉離れで登録を抹消された。ベストメンバーでオーダーを組めるようになるには、もう少し時間を要しそうだ。
しかし、DeNAの野球が、何から何までうまくいっていないわけではない。
防御率リーグ2位と奮闘する先発陣だが……。
特に先発陣の奮闘は評価に値する。4年目にして進境著しい井納翔一と、未勝利ながら安定した投球を続けるドラフト1位ルーキー今永昇太が軸となり、チーム防御率3.46はリーグ2位。さらに6イニングを自責点3以内に抑えるクオリティ・スタート(QS)率は約63%で、広島に次いでこちらもリーグ2位の高さを誇る。
「先発が試合をつくっても、打線の援護がない」。簡単に言えば、それがDeNAの苦戦が続く理由だが、野球がそれほど単純なものでないことを改めて思い知らされたのが5月1日の阪神戦だった。
6回終了時点で6-1とDeNAがリード。7回、先発の山口俊が四球と連打で無死満塁のピンチを迎えると、ここでラミレス監督はザガースキーへの継投に踏み切った。ところが連続四球とヒットで3点を奪われ、さらに2死満塁でマウンドを引き継いだ須田幸太がタイムリーを浴びてついに同点。8回にも追加点を許し、5点差からの逆転負けを喫した。
先発が試合をつくった。打線も援護した。それでも勝てなかった試合のポイントは、どこにあったのだろうか。