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電話セールスがMLSを成長させた?
チケットの売り方を教える養成所も。
posted2016/03/28 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Kunihiko Watanabe
「MLSでは、1クラブ当たり約20人もチケットセールス担当者がいる。リストに基づいて電話をかけまくるんです」
渡邉邦彦(元MLSインターン)
MLS(メジャーリーグサッカー)が急激な勢いで成長している――。それはランパードやジェラードといったスターが集まり、ついに平均観客数が2万人を越えたことからもよくわかるだろう。昨年1月にトロントに入団したジョビンコの年俸は約11億円と報じられており、マーキープレイヤー(サラリーキャップ制限外の選手)の報酬も高騰し続けている。いまや世界中のサッカー関係者が注目するリーグだ。
その急成長する場に、3カ月間のインターンを行なった日本人がいる。Jリーグ・徳島ヴォルティスの営業スタッフを経て、サザンニューハンプシャー大学のスポーツマネジメント専攻(修士課程)に留学していた渡邉邦彦だ。
静岡県出身の渡邉がスポーツビジネスに関わりを持ったのは、大阪の商社で働いているときのことだった。夜間に開催された立命館大学スポーツマネジメントスクールで講師の広瀬一郎氏(元電通。2002年W杯招致にも携わった)と出会い、新たな扉が開いた。
独立リーグの四国ILから徳島ヴォルティスへ。
広瀬氏の下で仕事をした経験がある中村武彦氏(日本人初のMLS職員。現Blue United Corporation代表)と知り合ったこともきっかけとなり、2011年4月プロ野球独立リーグの四国アイランドリーグplusへ転職を果たした。
そこからリーグが運営している徳島インディゴソックスに派遣され、約4カ月間現場であらゆる業務を経験した。渡邉はこう振り返る。
「営業代行という肩書きだったのですが、職員は3人しかいないため、広報やグッズ作成などほぼすべてに携わりました。24時間働いている感覚。あの経験があったから今があると思っています」
次なる挑戦の場として渡邉が選んだのは、J2の徳島ヴォルティスだ。2011年9月、アイランドリーグでの泥臭い仕事が評価され、営業部門に採用された。ヴォルティスが県外出身の営業担当を雇うのは初のことだった。