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マイアミの奇跡から20年――。
前園と川口が語る、五輪に出る価値。
 

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2016/02/04 12:05

マイアミの奇跡から20年――。前園と川口が語る、五輪に出る価値。<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

1996年アトランタ五輪、優勝大本命のブラジルを相手に日本は勝利。あまりに有名なこの「マイアミの奇跡」を、主将と守護神、2人に振り返ってもらった。

全員、3位決定戦のことなんて考えていなかった。

前園 チームとしても勝っている状況での戦い方は、意思統一ができていたんです。給水だったり、ファウルをもらった場合の時間の使い方に関しては、コーチの(山本)昌邦さんがうるさかったから(笑)。サウジ戦のような展開になったら、技術も大切ですけど、結局、気持ちや集中力が大事になってくる。決められてもおかしくない場面で能活が止めてくれることで、チームが活気づいたし、集中力も研ぎ澄まされました。本当に、よく止めてくれましたよ。

川口 ありがとうございます。あのサウジ戦は、サッカー人生の中でも、かなり記憶に残る試合です。それぐらい壮絶でしたから。

前園 もし負けて、3位決定戦にまわっていたら、五輪の出場権もどうなったかわからないもんね。

川口 全員が3位決定戦のことなんて考えてなかった。あの試合に懸けてましたね。

 前園のキャプテンシーと川口のスーパーセーブに支えられ、日本は2-1のままタイムアップの笛を聴いた。約4カ月後、彼らはアトランタ五輪初戦でロナウドやリバウドを擁するブラジルを破る「マイアミの奇跡」を起こすことになる。

 今回の対談は、U-23代表がリオ五輪への出場権を獲得したアジア最終予選の真っ最中に行なわれた。取材の最後に、手倉森ジャパンへのエールをお願いした。

前園「五輪で本気で勝ちに行くことで見えるものがある」

前園 今の若い世代は、クラブで結果を出せば、五輪に出なくてもそこから世界に出て行けると思っている選手もいるかもしれない。でも、僕らは何が何でも五輪に出て、本気で世界に出て行くんだと思って戦っていました。環境は変わっても、五輪で本気で勝ちに行くことで見えるものがあると思っています。

川口 今は五輪やW杯に出なくても欧州のクラブに行ける流れになっていますけど、五輪に出ることで、その道はさらに広がるはずです。自分たちの可能性を広げるために、リオ五輪で活躍してほしいなって思います。

 五輪への道は、世界に通ず。2人の目は、アトランタ五輪から20年が経過しても、相変わらず“ギラギラ”していた。

アトランタ五輪本番で、ブラジル戦後に川口の体に起こった変化、チーム内の“衝突”が報じられたナイジェリア戦ロッカールームの真実など、対談はさらに熱を帯びた。20年が経った今だからこそ明かされる2人の本音は、Number895号掲載のスペシャル対談「あの頃、A代表にも勝てると思っていた」でぜひお読みください。
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