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都市型フルマラソン増加の陰で――。
規模や人気よりも大切な事を考える。 

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph bySports Graphic Number

posted2015/11/14 10:30

都市型フルマラソン増加の陰で――。規模や人気よりも大切な事を考える。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

ランブームを生み出した東京マラソンは来年10回目を迎え、ますます人気に拍車がかかっている。

数値目標よりも、大会ごとの目標設定を。

 ランネットの評価以外にも、大会主催者側が気にすることがある。

 たとえば、大会の規模(参加人数が1万人超など)、先着順の場合エントリー〆切までの時間がどのくらいかかったか(わずか20分で1万人のエントリーが終了というレースまである)、抽選レースの場合その倍率(東京マラソンは10倍超)などだ。

 数値評価や数値目標は確かに分かりやすい。

 しかし、参加するランナーのこんな声もある。

「規模が大きい大会より、適度な人数の方がトイレや荷物預けが混雑していなくて快適だ」

 新設大会はこれからも増え、その規模もエスカレートするだろう。

 既存大会の良いところを取り入れて運営するのは歓迎だが、規模と人気だけの競い合いになってしまうと、思わぬ落とし穴もあるということだ。

 マラソン大会の開催は、情熱と綿密な計画が必要な大事業だ。大切なことは、大会を開催する目的は何か? それを達成できたか? ということ。

 そして、参加者はもちろんのこと、運営スタッフやボランティア、沿道の人たちも含めて満足できたか? 意義を感じてくれたか?

 そんな視点も忘れないことが、スポーツ文化として長続きする秘訣ではないだろうか。

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