セカンドでの守備も大きく改善し、穴のない選手に。

　昨年からの武器だった走塁に加え、大きな改善を見せているのが守備面である。

　今季の浅村は一、二塁間の難しいゴロをさばき、併殺を奪ったり、投手の頭上をバウンドして越えた厳しい打球を難なくこなしたり、といった場面が多い。あるいは、中継役になって併殺を成功させる場面も多い。

　2年前、まだ浅村が一塁を守っていた頃に二遊間へのこだわりを聞いたことがあったが、その時は「今は自分からやらせてくださいと言えるレベルじゃない」と意外にも遠慮気味だった。現在は、守備についての意識は変わったのだろうか。

「経験じゃないですかね。エラーしてもずっとセカンドで使い続けてくれたので、今年はそれが生きてるかなと思います。キャンプからずっと守備を鍛えてきましたし、捕球にしてもスローイングにしても安定してきたかなと。胸を張ってまではいえないですけど、エラーしたらしっかり練習して、またしたら練習しての繰り返しだと思う。そこで自信を付けていくだけだと思うので、積み重ねてきていると思います」

コーチ「もともと野球センスはずば抜けていた」

　浅村の守備に注目するのは、やはり、高校時代の華やかなプレーが印象に残っているからだ。時には雑に見えるプレーもあったが、ランニングスローありジャンピングスローありのスタイルは、高校野球では嫌われることも多いが見ていて楽しい選手の一人だった。

　最近はその“らしさ”が時折顔を出すようになったが、「別に、プレーに華やかさを求めているわけでもないですよ」と否定されてしまった。

　内野守備コーチでもある奈良原は、浅村の守備についてこう語る。

「下半身を意識してプレーしているなというのは感じますね。もともと野球センスはずば抜けていたと思うんです。でも上手い分、これまでは上体だけでできていたということがあって、下半身が疎かになっていた。今はそれはなくなりました。

　僕も、浅村の高校時代のプレーを観たことがあるんです。思い切りがあって、パワフルかつアグレッシブ。雑にも見えるんですけど、ジャンピングスローとか華やかでしたよね。それが戻ってきているんじゃないでしょうか。入団した時はエラーする恐怖もあって鳴りを潜めていましたけど、このまま成長してくれたらと思います」

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