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歴史的立ち遅れで大波乱の宝塚記念。
それでもゴールドシップが愛される訳。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2015/06/29 11:15

歴史的立ち遅れで大波乱の宝塚記念。それでもゴールドシップが愛される訳。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

ゲートが空いてからゴールドシップが走り出すまで、永遠のように思えた数秒間だった。懸命の追走も実らず、15着となった。

ラブリーデイ池江師「差されたと思った」

 ラブリーデイを管理する池江泰寿調教師は「差されたと思った」と笑う。勝ちタイムはレコードより4秒以上遅い2分14秒4。良発表だったが、梅雨と開催最終週という馬場が傷みやすい条件が重なるこの時期の芝はどうしてもタフになる。さらに、ペースが遅かったこともあって、これだけ時計がかかる結果となったのだろう。

「緩い馬場は得意ではないので、きょうは4回芝コースを歩いてみました。これならこなしてくれるかな、という状態でしたね。馬が逞しく成長して、後ろから見たらキンカメ(父のキングカメハメハ)みたいになってきました。精神的にも肉体的にもタフなので、欧米やオーストラリアなどでも力を出せると思います。今後の選択肢がひろがり、楽しみになりました。オーナーと相談しながら、いろいろ考えてみます」と池江師。

 昨春までは新馬とふたつのオープン特別を勝っていただけなのに、今年の中山金杯で重賞初勝利を挙げると、京都記念、前走の鳴尾記念と重賞3勝をマークし、そして一気にGIホースになった。じっくり時間をかけてつけてきた力は間違いなく本物だ。

菊花賞以来となるトーホウジャッカルが4着と健闘。

 2着は前述したようにデニムアンドルビー、3着はショウナンパンドラと、牝馬が健闘した。デニムの浜中は「中途半端な競馬をするより、後ろで溜めるだけ溜めた。ペースが遅く馬群がかたまっていたので、この馬にハマりやすかった」と言い、ショウナンの池添は「最短距離でレースをした。緩い馬場にも脚をとられず、狭いところをよく伸びてくれた」と振り返った。

 菊花賞以来の実戦となったトーホウジャッカルが、一瞬ひょっとしたらと思わせる4着に来て、地力の高さを証明した。手綱をとった酒井学の表情は明るかった。

「1回使っていれば、ラブリーデイについて行く競馬ができたと思う。次に目標にしたヌーヴォレコルトの内にも入り切れず、前に壁をつくれなかった。外々を回りながらも、4コーナーでバランスを取り戻して直線で伸びた。強い馬です」

 先々の楽しみが大きくなったという点では、ラブリーデイに匹敵するかそれ以上かもしれない。

【次ページ】 2番人気ラキシス騎乗のルメールは……。

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