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2015年型の和田毅、故障を越えて。
進化した2つの球種と“完成形”。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byAFLO

posted2015/06/29 16:15

2015年型の和田毅、故障を越えて。進化した2つの球種と“完成形”。<Number Web> photograph by AFLO

コーチと相談し、マウンドを降りた和田毅。2012年に受けたトミー・ジョン手術からの完全復活を目指し、背番号を18に変更した今季は正念場のシーズンとなる。

 シカゴ・カブスの和田毅が左肩に異変を感じたのは、3回表が始まる前。ウォーミングアップの最中だった。

 本拠地リグリーフィールドで行われた6月22日のドジャース戦。1回、2回と三者凡退、わずか19球で2イニングを投げ終える順調な滑り出しだった。ところが3回、速球を投げる時には「何も感じなかった」のに、カーブやスライダーを投げると何かがおかしい。“痛み”ではないし、“違和感”でもない。肩の外側が「固まっている」。

 和田は「知らず知らずの内に、(腕を振るのを)怖がってた」という。

 3回先頭のヘルナンデスの初球は時速87マイル(約140キロ)の速球がボールになった。2球目は2シーム・ファストボール。球速は同じだ。低めにはコントロールされていたが、外角から真ん中寄りに切れ込むように変化した。

 打った瞬間に「ホームランだ」と分かるほど強烈な打球が、左翼席に突き刺さった。

 それを見たベンチの智将ジョー・マドン監督は、思わず「ん? 今のはカッターだったのか?」とクリス・ボシオ投手コーチに尋ねたという。

 マドン監督にとってはVelocity(速度)が問題だった。前回(17日)のインディアンス戦では、自身が「もっとアグレッシブに速球を使ってみてはどうか?」というアドバイスが利いて、今季最長の7回107球を投げて4安打無失点と好投していた。元捕手であるマドン監督にとっては「2シームもカッターもいいが、まず何よりも速球」だったのだ。

4シームと2シームの球速差が少ない和田。

 何かが、おかしい――。

 8番エリスへの初球、時速86マイル(約138キロ)の速球が外角高めに外れた時、マドン監督は「これは普通じゃないぞ」と思ったという。エリスが5球目を打って左前打にした直後、ボシオ投手コーチとトレーナーをマウンドに送ったのは当然だった。

 エリスへの5球はすべて時速86マイル。その中には2シーム・ファストボールも含まれているのだが、和田は元々、「真っ直ぐ」=4シーム・ファストボールと2シーム・ファストボール(あるいはカット・ファストボール)のスピード差が少ない投手であり、それゆえに球種の詳細を分析することで知られるFanGraphs.comですら、Fastball=速球で一括りにしているほどだ。和田の4シームは平均では89マイル(143.29キロ)前後で、たった3マイル(4.83キロ)前後のスピード差でも、時速86マイル(約138キロ)になると極端に遅く感じる。

 前述の通り、マドン監督はここまで和田の速球の出来、不出来で続投か降板かを決めてきた。それが肩の異変によるものなら尚更、続投を命ずることなどできなかった。

【次ページ】 日本時代の和田は速球でも打者を圧倒できたが……。

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