SCORE CARDBACK NUMBER

速球の平均球速が151km。ヤンキース田中の完全復活。
~右肘、手首の不安を払拭して~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2015/06/21 10:30

復帰第2戦では7回5安打1失点6奪三振。全87球中の63球がストライクと驚異的な内容。

復帰第2戦では7回5安打1失点6奪三振。全87球中の63球がストライクと驚異的な内容。

 1カ月以上のブランクをみじんも感じさせない快投だった。4月24日以来、右手首痛などで戦列を離れていたヤンキース田中将大投手が6月3日、マリナーズ相手の復帰戦を白星で飾った。3回に1点を失ったものの、味方の好守にも助けられ、快調なテンポでアウトを重ねた。事前に、「80~85球」の球数制限を指示されていたが、終わってみれば、わずか78球で7回を3安打1失点無四球9奪三振。文句なしの内容だった。

「すべての球種が良かったです。7回を投げ切れたというのは、最高だったんじゃないですかね」

 7回裏2死からシーガーを見逃し三振に仕留めた最後の78球目には、メジャー自己最速タイの154kmをマークするなど、本来の力強い投球を披露した。米国のデータ会社の計測によると、速球の平均球速は151kmに到達。昨年9月の147kmからアップしたことで完全復活を印象付けた。昨年7月、右肘靱帯部分断裂が判明したこともあり、これまで不安視する論調を繰り返していた地元ニューヨークのメディアも、手のひらを返したように絶賛するばかりだった。

右手首痛の離脱をトレーニング期間と切り替えた。

 もっとも、田中にすれば、開幕直後に比べて、徐々に調子が上がることはイメージできていた。というのも、春季キャンプでは、故障再発を心配する首脳陣の指示により、異例のスロー調整に終始した。中5~6日と余裕のある間隔で投球プログラムが組まれ、オープン戦登板はわずか4試合、最多球数も76球止まりと、「調整途上」のまま開幕を迎えた。

 今回、右手首痛で離脱したのは、想定外だった。その一方で、この約1カ月をリハビリというよりも、むしろ調整、トレーニング期として利用した。

「最後まで戦い抜きたい気持ちは一緒。この期間中、自分なりに、新たに、こうかな、ということは、やってきました。それが残りのシーズンにつながってくれればいいかなと思います」

 確かに、故障再発の可能性は消えない。だが、不安を抱えたまま、結果を残せるほど甘い世界でもない。復帰2戦目のナショナルズ戦では、7回1失点でサイヤング賞右腕シャーザーに投げ勝ち、4勝目。公式戦の最後まで、さらにポストシーズンのマウンドに立つためにも、田中の腕を振り続ける覚悟が変わることはない。

関連コラム

ページトップ