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イチローの偉業を継承するために。
青木宣親もまた“特別な存在”だ。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2015/06/16 10:50

イチローの偉業を継承するために。青木宣親もまた“特別な存在”だ。<Number Web> photograph by AFLO

日本での通算打率は.329、メジャーでの通算打率は.287。しかし今季の青木宣親は、.330を越える打率を記録している。メジャーでの200本安打も視野に入ってきた。

イチローの凄さは、メジャーを体験すると再認識される。

「イチローさんの凄さって、こっちに来たからこそよく分かる。技術はもちろん凄いけど、体が強いから、メジャーリーグであれだけ長い間、打ち続けることが出来るんだと思う」

 紙幅が足りなくなるので詳細は省くが、青木はメジャー挑戦を開始した2011年から、「メジャーリーグでも強い打球を打つため」に打席での構えやボールの見方、道具に至るまで、様々な角度から自身の打撃を見つめ直してきた。そんな風に考え抜いて作り出された技術の進歩を成績にしっかりと結びつけるため、メジャーリーガーとのパワーの違いを克服するため、厳しいトレーニングを自らに課して体力を強化してきたのだ。

 そうして生まれたのが天然芝に勢いを殺されない打球。内野手が追いつかない鋭い打球。そして、外野手に追いつかれない強い打球だった。

「青木宣親に清き35票を!」

 青木はイチローの後継者なのか?

 33歳の青木が今季から10年連続200安打を達成したり、イチローが保持するメジャー記録のシーズン262安打に肉薄する、という意味ではない。

 イチローが示した日本人野手の可能性、つまり、日本独特の環境で育成された選手が、己の個性を最大限に生かしながら打撃を細部まで徹底的に極めてヒットを量産し、メジャーリーグ屈指のリードオフマンとして毎日、試合に出て活躍するような“特別な存在”が、そろそろ現れてもいいのではないか、という意味だ。

 少なくともメジャーリーグは今、Nori Aokiのことをイチロー同様、“特別な存在”として認めはじめている。それはオールスターゲームのファン投票の外野手部門4位という結果を見ても明らかだ。このまま首位打者のタイトルを争い続けるようなら、青木の票はもっと伸びる。我々日本人も今こそ、胸を張って「青木宣親に清き35票を!(注)」と呼びかける時なのである。

(文中敬称略)

(注)ワンクリックだけで簡単に済ませるネット投票では、一つのメールアドレスから35回の投票が認められている。
 

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