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Jの先を行くドイツ代表の「科学力」。
W杯優勝を支えたシステムが進化中。
posted2015/05/11 10:40
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「自分たちの試合の振り返り、および対戦相手の分析に、ラームやミュラーといった選手たちが率先して取り組んでいた」
オリバー・ビアホフ(ドイツ代表マネージャー)
J1が今季から走行距離やスプリント数の計測を始めたように、日本サッカー界はデータ分析の発展に遅れまいと日々努力している。しかし、その先を走るサッカー大国も立ち止まっているわけではない。
とりわけW杯王者のドイツは、すさまじいスピードでデータ分析を進化させつつある。
2014年ブラジルW杯において、ドイツは「マッチ・インサイト」という最先端の分析システムを使用していた。
同システムはブラジルW杯に向けてSAP社とドイツサッカー協会が共同開発したもので、大会期間中、ドイツ代表の宿舎に置かれていた(詳しくはNumber 859号に掲載された記事『W杯優勝を支えた驚異の分析力』を参照)。
得失点シーンはもちろん、決定機やピンチの場面を、タッチスクリーンを指でタップすればすぐに呼び出すことができる。ゲーム感覚で操作できるため、選手も取っ付きやすい。
W杯優勝から10カ月、新システム『スポーツ・ワン』登場。
ドイツ代表のマネージャー、オリバー・ビアホフによれば「自分たちの試合の振り返り、および対戦相手の分析を、ラームやミュラーといった選手たちが率先して取り組んでいた」という。『マッチ・インサイト』をW杯優勝の要因というのは大袈裟だが、何かしらの貢献をしたことは間違いない。
だがSAP社は、1度の世界一だけでは満足できなかったようだ。
あれから約10カ月――。ドイツ代表とSAP社はさらなる開発に取り組み、新たな分析システムを4月27日にミュンヘンで発表した。
その名は『スポーツ・ワン』。