セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
CBコンビの離脱と走れないトッティ。
“元優勝候補”ローマ、目標は2位。
posted2015/05/13 10:50
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
ローマの監督ガルシアは、怒り心頭だ。
「今のローマは、何とおどおどしていることか。見苦しい上に弱い。本当に私のチームか、と見紛うほどだ」
10位ミランとの遠征試合にあえなく敗れた9日の夜、ローマが首都に帰りついたのは深夜2時だった。しかし、無様な内容に怒りの冷めやらない指揮官は「残されたゲームがどれだけ少ないか理解していない者がいる」と告げ、6時間後の朝8時に再びトリゴリア練習場へ集合するよう、毅然と命じた。
異例の懲罰的練習は、もはやカンピオナートでの取りこぼしが許されないことを選手たちに知らしめるためだ。シーズンの最終盤に、監督とフロントは緊急合宿も検討している。
昨季の2位躍進を踏まえて、“14年ぶりのスクデット奪回”という大望を掲げて臨んだはずの今シーズン、ローマは優勝をかけて王者ユーベと今頃デッドヒートを繰り広げているはずだった。なのに、現実には2位死守に四苦八苦している有様だ。
一体全体、今季のローマはどうしてしまったのか。
選手達の心を折った“バイエルン・ショック”。
フィオレンティーナとのセリエA開幕戦に勝ち、以降5連勝。CLのグループリーグでも、CSKAとの開幕カードで5-1の大勝を収め、マンチェスター・Cとの2節目アウェーゲームをドローに持ち込むなど、今季のローマの出足は決して悪くなかった。
歯車が狂い始めたのは、王者ユベントスとの直接対決で2-3と惜敗した10月5日あたりだ。
それから16日後、今度は強豪バイエルンを本拠地オリンピコに迎えたCLの試合で、ローマは1-7という衝撃的な大敗を喫した。
後に、サバティー二SD(スポーツ・ディレクター)が「あの大敗で、何人かの選手はモチベーションを失ってしまった」と悔やんだように、“バイエルン・ショック”は、昨秋の時点で選手たちの心を一度折ってしまった。
4季ぶりに挑んだCLは甘くなかった。結局、ローマは1勝2分3敗の成績しか残せずにグループリーグで敗退した。