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元J1組との6連戦で岡山が得た自信。
湘南・松本の系譜を引く「前方型」。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/04/24 10:40

元J1組との6連戦で岡山が得た自信。湘南・松本の系譜を引く「前方型」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

今季から加入し、キャプテンマークを任されている岩政大樹。鹿島で多くのタイトルを獲得した勝者のメンタリティを岡山に注入することが期待されている。

攻撃陣のプレスバックも徹底、ベテランも走る。

 もっとも、岡山の守備がいやらしいのは、闇雲に前から奪いにいくだけでない点だ。

 攻撃陣のプレスバックの意識は高く、千明聖典と渡邊一仁の2ボランチは、チャレンジ&カバーの徹底と巧みなポジション取りで、磐田のトップ下・小林祐希へのパスコースを塞いでいた。

「マークが厳しかった。こうした中でも剥がして点を取るとか、起点になるとか、もっとしていかなければならない」と悔しさを覗かせたのは、してやられた小林だ。

 右アウトサイドには、今シーズンから加入した35歳の加地亮が、年齢を感じさせない走力で、自陣深くから相手のペナルティエリア内までを走り抜く。

 ディフェンスラインの中央では、同じく新加入の33歳、岩政大樹が制空権を握るだけでなく、ときにこぼれ球を拾って自ら「前へのベクトル」を示す攻撃参加で、スタジアムをおおいに沸かせる。

プラン通りの試合をしても、物足りない攻めの形。

「下地ができた」と胸をはったのは、その岩政である。

「J1から落ちてきたチームとの対戦でも、勝利へのシナリオを描きながら戦えるというのは分かったし、その手応えをみんなも得られたと思う。あとは、シーズンを通していかに勝ち点を積み上げていけるか。それに挑むための下地はできたと思います」

 もっとも、満足した様子は一切ない。相手が磐田といえども、勝てたゲームを引き分けてしまっていたからだ。

「プラン通りの試合になったと思いますけど、そこで“刺す”ことができないのがうちの現状。勝負のポイントが1個、2個しかないから、そこを抑えられたり、うまくいかなかったりすると得点が奪えない。シーズンを通して自分たちの攻め手を増やしていって、シーズンの終わりに良いチームになっていることが大事だと思います」

 岩政が指摘する“勝負のポイント”――。それを増やす可能性を秘めたひとりが、今シーズン、浦和レッズから期限付き移籍で加入した矢島慎也だ。

 矢島は、リオデジャネイロ五輪出場を目指すU-22日本代表の一員で、チームを率いる手倉森誠監督の信頼も厚く、立ち上げ当初からずっとメンバーに名を連ねている21歳の技巧派アタッカーだ。

【次ページ】 矢島のアイディアが、攻撃に彩りを加えるか。

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