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ソチ女王ソトニコワ不在に想う……。
十代で消えたフィギュア五輪王者達。 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2015/03/25 10:45

ソチ女王ソトニコワ不在に想う……。十代で消えたフィギュア五輪王者達。<Number Web> photograph by Getty Images

左から、ソチ五輪銀メダルのキム・ヨナ、金メダルのソトニコワ、銅メダルのコストナー。ソチ五輪当時はそれぞれ、23歳、17歳、27歳だった。

五輪チャンピオンに求められる責任とは?

 五輪チャンピオンともなれば、そのスポーツを一般社会にプロモートして人気を盛り上げ、後輩に手渡すまでスポーツを牽引していく役割が期待される。

 本来ならばそのような役割を果たしてきた選手に、最後のグランドフィナーレとして五輪の金メダルが与えられるというのが理想だっただろう。男子ではアレクセイ・ヤグディン、エフゲニー・プルシェンコ、女子ではトリノ五輪の荒川静香などは、まさにISUが理想としている形での五輪金、そして競技引退だった。

 もちろん五輪金メダルは功労賞ではなく、その日にベストな演技をした選手に与えられるべきものである。とは言うものの、このティーネイジャー五輪王者たちの「五輪金メダルの勝ち逃げ」が3度も続いたことは関係者たちの間でも不評で、今後の五輪までも懸念する声が多く聞かれた。

 だが、これらのティーネイジャーたちを五輪チャンピオンに選んだのは、他でもないISUジャッジたちなのだ。どの選手も、五輪金メダルを競技の最終目標にしているのは普通のこと。目的を達成して、モチベーションを失ってしまったという選手を、誰が責めることができるだろう。

「五輪金とか関係ない」と言い切った羽生。

 そんな中で、羽生結弦がソチ五輪で優勝した直後に「平昌五輪まで続ける」と宣言したときは、ISU関係者たちもほっと胸をなでおろしたに違いない。19歳だった羽生は、ソチで史上2番目に若い男子五輪チャンピオンとなっていた。

 本来なら1シーズンくらい休みをとってもおかしくはないのに、GP大会では大きな怪我をおしてまで出場することにこだわり、結果もきっちり出してきた。

「五輪チャンピオンとか、そういうのはまったく関係ないので」

 GPファイナルでも記者に囲まれてそう口にして、自分はあくまで挑戦者のスタンスを保つことを明確にした。

 五輪金を取る前より、五輪金を取った後にすごい功績を残した。羽生結弦は、そう言われる稀有な存在になることだろう。

【次ページ】 実力者揃いの女子フィギュア界、これからの3年間。

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