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船木、鈴木、そして近藤の今……。
創設から22年、パンクラスの現在地。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2015/03/22 10:40

船木、鈴木、そして近藤の今……。創設から22年、パンクラスの現在地。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

今年の7月で40歳になる近藤は、有己空に名前を変えて臨んだ初戦だったが、スタンドで主導権を奪われると、バウンドでTKO負けを喫した。

近藤、39歳でもまだ枯れていないことの証明。

 伊藤も有己空も、掌底ルールからユニファイドルールまで、パンクラスの全ルールを経験していることになる。有己空は一時期“限界”を感じさせるような試合を見せたこともあったが、昨年は3連勝でウェルター級タイトルにも挑戦。今回も負けはしたが、改名は39歳にしてまだまだ“枯れて”いないことの証明だろう。試合を終えると、彼はブログにこう書き記した。

〈試合ぼろ負けした!

よーし!こっからだ!!

もっとがんばる!!!〉

 有己空が現在、使用している入場曲は、高橋優の『陽はまた昇る』。青春映画の傑作『桐島、部活やめるってよ』の主題歌だ。「明日を見失っても明けぬ夜はない」と絞り出すように歌われるこの曲に彼が見出したものは、説明するまでもないだろう。

 旗揚げ当時からすると、現在のパンクラスは何もかもが変わったように見える。しかし変化とは、時代にアジャストし続けているということでもあるはずだ。パンクラスは時代の変遷の中を、自ら変化することで生き残り、そうして20余年の歴史を重ねてきた。

 多くの若い選手がUFCを目指し、他団体の王者として帰ってきた北岡がいて、テレビ番組のナビゲーターを船木が務め、伊藤や有己空が最前線で闘い続けている。それが今のパンクラスだ。そこには、変化しながら歴史を重ねてきたからこその豊かさがある。

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