濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
船木、鈴木、そして近藤の今……。
創設から22年、パンクラスの現在地。
posted2015/03/22 10:40
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
1993年にパンクラスが旗揚げしてから、すでに20年以上が経っている。かつては船木誠勝、鈴木みのるといったスター選手を擁し、両国国技館などでビッグイベントを開催してきたが、現在のメイン会場はディファ有明。闘いの有り様も、大きく変わった。
UWFの流れを汲み、プロレスラーが行なう“格闘技としてのプロレス”を突き詰めた試合形式でスタートしたパンクラス。しかし総合格闘技の確立と歩を合わせるように掌底ルールからオープンフィンガーグローブ着用となり、昨年からは試合場として全面的にケージが導入された。ルールは、アメリカで採用されているユニファイドルールだ。つまり試合そのものは、UFCとなんら変わらない形ということになる。
運営面でも、大きな変化があった。2012年、過去にプロレス団体を手がけたこともある酒井正和が代表に就任。パンクラスは酒井氏の会社スマッシュの「パンクラス事業本部」となった。ケージ導入も、酒井体制で始まったものだ。
〈世界標準〉でUFCにも選手を提供、テレビ放送も決定。
酒井は、代表に就任すると次々と新たな企画を打ち出していった。中には“空振り”に終わったものもある。立ち技イベントKrushとの対抗戦は短期間で自然消滅。アメリカのMMA団体WSOF(World Series of Fighting)と提携し、記者会見を行なって日本大会開催をアナウンスしたが、大会の日時すら出ないままだ。
その一方で、ケージ&ユニファイドルール導入は、アメリカでの成功を夢見る選手たちにとっては魅力的なはず。〈世界標準〉をスローガンに、海外の団体に参戦する選手も多い。アジア最大の団体『ONE FC』では、大石幸史がタイトル奪取を果たしてもいる。独占契約のUFCにも、快く選手を送り出す。4月にテレビ東京で特番が放送されることも決定した。
パンクラスは新体制を少しずつ固め、大会を充実させていった。ランキングとタイトル、そしてその先にある海外の大舞台。そうした闘いの“軸”に加えて、パンクラスには20年以上の歴史という強みもある。