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アンデウソンは汚れた英雄か。相次ぐUFCの薬物汚染。
~最強の男から出た陽性反応~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2015/03/14 10:30

薬物疑惑を否定し続けているアンデウソン。陽性反応が出たのは、今回が初めてだが……。

薬物疑惑を否定し続けているアンデウソン。陽性反応が出たのは、今回が初めてだが……。

 アンデウソン、お前もか。UFCの薬物汚染が物議を醸している。騒ぎを大きくしたのは1月31日(現地時間)のUFC183でニック・ディアスを相手に、1年1カ月ぶりの復帰戦を飾ったアンデウソン・シウバだ。

 アンデウソンといえば、'13年7月にクリス・ワイドマンから生涯初のKO負けを喫するまで、約7年間も無敗記録を更新し続けた前UFC世界ミドル級王者。肝心の試合の方は時折ブーイングが飛ぶほどの凡戦だったが、最多王座防衛回数など数々のレコードを持つアンデウソンの復帰はUFCにとって朗報だった。

 だが、ディアス戦後、試合前の薬物検査で禁止薬物であるステロイドの陽性反応が出たことが判明した。さらに試合後の検査でも陽性が出たことが発表され、アンデウソンはパウンド・フォー・パウンドでは最強と呼ばれた地位から一転して地に堕ちたヒーローになってしまった。

アンデウソンの対戦相手からはマリファナの陽性反応。

 UFCでは、先日世界ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズからもコカイン代謝物質の陽性反応が出たばかり。おまけにアンデウソンと闘った、ニック・ディアスからもマリファナの陽性反応が出たというのだから始末が悪い。

 禁止薬物が原因で出場停止処分を食らった過去を持つディアスは、今回も医療用マリファナの処方箋の存在を楯に許容の範囲内の使用だと主張する。アンデウソンも「私はパフォーマンスを高める薬を使ったことはない」と身の潔白を主張するが、世間の見方は冷やか。かつてこのブラジルの英雄は「ドーピング違反者は永久追放にすべき」と発言しているだけに、もし本当にクロならばミイラとりがミイラになった感は否めない。

 そもそも、禁止薬物は検査する機関と使用する選手のいたちごっこ。ある薬物が禁止になったら、すぐに検査をすり抜けられる新たな薬物が生まれるサイクルを繰り返しているといわれている。

「君はどんなのを使っているの?」

「僕がとっているサプリメントは……」

「違うよ。僕が聞きたいのはサプリメントではなく、“薬”の方だよ」

 数年前、ある日本人選手は海外遠征した際親しくなった現地の選手からそんな質問を投げかけられたという。スポーツとして発展し続けるMMAの歴史の裏には闇が広がっているのか。

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