ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
内田篤人「結局、レアルが上へ行く」
健闘ムードの陰で“差”を見つめて。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/03/12 11:15
CL敗退はしたものの充実感を表明したチームメイトとは異なり、内田篤人は結果に現れたレアルとの「差」を見つめていた。内田が求めているのは、いつだって結果なのだ。
内田「結局、レアルが上へ行くと。そこです」
もっともシャルケは、1失点目や前半ロスタイムのロナウドの同点弾など、避けなければいけない時間帯、避けなければいけないシチュエーションで、あっさりと失点してしまっている。そうした勝負のポイントとなるような場面で気を引き締められるようなリーダーがシャルケにいれば、結果は違っていたのかもしれない。
シャルケは手にしたチャンスを、みすみすふいにしてしまったのか。
しかしそんな見方について、内田はこう言ってのけた。
「結局、レアルが上へ行くと。(彼らとの差は)そこです」
続けて内田は、レアルが最悪な形で試合に入っていったことに触れ、悔しさをにじませてこう口にした。
「(レアルの守備は)はまってなかったもんね。オレらは別に難しいことはしてないけど、中盤でプレッシャーに来てない感じだった。でも結局、前半を2-2で終わらすからね、すごいよね」
内田は自分たちの勇敢さに酔わず、勝負の明暗を分ける本質をとらえようとしていた。
セカンドレグを落としても、力のあるチームは勝ちあがる。
単純にこの試合だけを見るならば、レアルのお粗末なパフォーマンスやシャルケの勇敢さが目に付く。
しかし、アウェーでのファーストレグで勝利をつかんだチームが、セカンドレグに向けて万全の準備ができないことは、CLの舞台ではよくあるのだ。過去2年は、ドイツ勢がその罠にはまっている。
一昨シーズンのバイエルンは、今回のレアルと同じく決勝トーナメント1回戦でアーセナルと対戦し、アウェーでのファーストレグに3-1で勝ちながら、ホームでのセカンドレグを0-2で落として冷や汗をかいた。
昨シーズンのドルトムントも、ゼニトと対戦した決勝トーナメント1回戦、アウェーでのファーストレグを4-2で勝ったものの、ホームでのセカンドレグを1-2で落としている。
しかし、結局バイエルンやドルトムントは次のステージにコマを進めている。それは、彼らが相手チームよりも力のあるチームだったからだ。