SCORE CARDBACK NUMBER

つかみどころなき俊英、ハーデンの着実な進化。
~ロケッツの“あご鬚男”に注目~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2015/03/09 10:00

つかみどころなき俊英、ハーデンの着実な進化。~ロケッツの“あご鬚男”に注目~<Number Web> photograph by Getty Images

 ジェイムズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)は、つかみどころのない選手だ。型にはまった先入観を持って見ると、驚かされることも多い。スピードよりもスキルやタイミングのずれで勝負する熟練スタイルは、一見30代のベテラン選手にも見えるが、実はまだ25歳と若い。NBA選手の中で平均的な運動能力の持ち主に見える一方で、時々、思いがけない瞬発力でディフェンスを抜き去り、豪快なダンクを決めてくる。

「ふだんスローなテンポでプレーすることと、左利きであることで、わかりにくいのだと思う」とハーデンは、自分のプレースタイルを語る。

 驚かされるのはプレースタイルだけではない。高校、大学と、どちらかというと自分だけが目立つのを嫌がるエースだった彼が、最近は、真顔で「自分こそが世界一の選手」と公言するようになった。昨夏には強がりとしか思えなかった発言だが、大口を叩いたわけではないことを、今季のコート上で証明してみせている。2月24日現在、平均27.3点(リーグ最多)、5.8リバウンド、6.8アシスト、2.0スティール。このペースでシーズンを終えれば、記録が残っている中でリーグ史上3人目という数字だ。

「髭は僕独自のスタイルであると同時に……」

 個人成績だけではない。共にチームを率いるはずのドワイト・ハワードが半分近くの試合を故障欠場している中、ロケッツを西カンファレンス3位の38勝18敗に導いている。ロケッツのヘッドコーチ、ケビン・マクヘイルも「ジェイムズが高いレベルでプレーしていなければ、私たちはこれほどの成績をあげることはできなかった」と感謝、絶賛する。

 少し前までは酷評されていたディフェンスも今季は大きく改善。リーダーとしての存在感も増してきた。得点だけでなく、本格的なオールラウンドのエースへと進化を見せていることによって、リーグMVP候補上位にも名前があげられるようになった。

 つかみどころがないハーデンだが、大学時代から伸ばし始めたあご髭だけは、彼の名前を知らない人でも見間違えることのないはっきりした目印だ。そこには、彼なりの主張があった。

「髭は僕独自のスタイルであると同時に、人と違うことの象徴なんだ」とハーデン。

 髭の中に、彼の本質が隠れていた。

関連コラム

関連キーワード
ジェイムズ・ハーデン
ヒューストン・ロケッツ
NBA

ページトップ