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ジャンプの常識を変える? 世界が注目する“ロシア流”。
~プルシェンコらの跳び方に学ぶ~ 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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posted2015/02/22 10:00

ジャンプの常識を変える? 世界が注目する“ロシア流”。~プルシェンコらの跳び方に学ぶ~<Number Web> photograph by AFLO

トゥクタミシェワはGPファイナルで優勝、欧州選手権も逆転勝ちと破竹の勢いを見せる。

 女子にとって憧れの大技といえば、トリプルアクセルだ。伊藤みどりが’88年に女子史上初の快挙を遂げて以来、浅田真央を含めわずか5人しか成功していない至極のジャンプ。当然、今季出場の選手に成功者はいない。

 ところが今年1月8日、ロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワがインターネット動画にアップした映像が、いま世界中の関係者で話題になっている。スピードのある助走で、軽々と踏み切り、雄大なトリプルアクセルを決めているのだ。“3回転半”の半回転ぶんは、女子の身体能力的には限界値と言われている。半回転を増やすには、「回転速度を上げる」か「滞空時間を伸ばす」かのどちらかだが、女子は身体を細くして回転速度を上げることが大前提だと考えられてきた。

 ところが18歳のトゥクタミシェワは成長期に体重が増加し、トップ選手の中では、かなりふくよかな体型。その彼女が最難度のジャンプを跳んだのだから「何か秘訣がアルに違いない」と各国のコーチは、そのフォームに着目したわけだ。

一本脚打法のようなミーシン・メソッドの利点とは?

 実はこの跳び方は“ロシア流”または彼女のコーチの名をとって“ミーシン・メソッド”と言われる。ジャンプの回転軸への入り方が違うのだ。一般的な理論では、「右脚と左脚の2軸」の体重移動を行うのだが、ロシアは常に「体幹の1軸」のまま。野球でいえば、両脚スタンスが一般的なのに、ロシア人は一本脚打法、という感じだろうか。回転軸はやや太い反面、足元からのパワーがダイレクトに身体に伝わる利点がある。

 この跳び方で成功を収めているのは、五輪4大会連続メダリストのエフゲニー・プルシェンコ。32歳のいまなお、4回転ジャンプを持続している。

 また無良崇人も'14年夏にロシア人にジャンプを習い4回転の成功率が上がった。

「ロシア人は30代になっても4回転を跳べる。その秘訣を知りたくてフォームを習い、改造した。4回転だからといって特別に多く回転させようとしないのが新しい理論」と無良は言う。

 突如として注目されはじめたロシア流ジャンプ。ミーシン・コーチは今季、どの会場でも各国関係者に声を掛けられ、ご機嫌だった。まずはトゥクタミシェワの試合でのトリプルアクセル成功が待たれている。

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