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河口駿が示したV6帝京大の成熟度。
~No.8が象徴する盤石のラグビー~ 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2015/01/24 10:30

河口駿が示したV6帝京大の成熟度。~No.8が象徴する盤石のラグビー~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

「これだけ完敗だと涙も出ない」

 そう言ったのは筑波大の切り札にして日本代表のエースを張る豪脚WTB福岡堅樹だ。1月10日に味の素スタジアムで行われた大学選手権決勝。筑波大は、絶対王者・帝京大に、完膚なきまでにたたきのめされた。

 スコアは50-7。50得点と43点差はともに大学選手権決勝の新記録。更新を続ける連覇の最長記録は「6」に伸びた。福岡の言葉がうなずける。大学選手権という頂点をかけた戦いは、残念ながらミスマッチと呼んでしまいそうなほど、大差の試合になってしまった。

相手の足の向きまで読み切った完璧な「ループ」。

 帝京大があげたトライは7。その多くは相手からボールを奪い、あるいは相手キックを捕ってからのカウンターアタックが起点だった。中でも圧巻は前半25分、3本目のトライだ。自陣22m線付近のターンオーバーからSH流大主将がキックを蹴り、相手の処理ミスで再びボールを奪うとすぐに展開。CTBの位置でパスを受けたNO.8河口駿は、CTB金田瑛司にパスを送ると、すぐに自分がパスした方向へ猛ダッシュ。金田からパスを捕ろうと走り込んだFB森谷圭介の鼻先でパスをかっさらい、大外に開いたHO坂手淳史―WTB磯田泰成と繋ぐスリリングなトライを完成させた。パスした選手がまたパスを受ける「ループ」自体は珍しくないプレーだが、自陣のターンオーバーからキックを挟んで長く続いた攻撃だ。サインが出ていたとは思えない。

「はい。あれはサインじゃないです」

 河口は、こともなげに言った。

「パスをしていつも通りフォローしたら、相手の足が森谷の方を向いてたし、外側のスペースが空いていたので、僕がパスを捕って繋いだ方が有効だと思った。普段の練習から、フォローして判断することはいつも意識していますから」

 目から鱗が落ちた。河口は4年生だが、昨季はNO.8に副将の李聖彰(現東芝)がいて、レギュラー獲得は今季からだ。高校時代はBKだったとはいえ、大学ではずっとFW。そんな選手が、相手の足の向きまで読み、瞬時に最適な判断を下してトライをクリエイトしたとは……。

 V6帝京大の成熟度を証明した河口のループは、'19年W杯に向け、日本ラグビー永遠の課題、判断力をクリアする可能性も示してくれた。

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