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「マンCのランパード」いまだ健在。
変わらぬ得点感覚と試合を決める力。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2015/01/12 10:40

「マンCのランパード」いまだ健在。変わらぬ得点感覚と試合を決める力。<Number Web> photograph by AFLO

出場時間あたりのゴール数はアグエロ、ヤヤ・トゥーレを上回りチーム最高のフランク・ランパード。まさにマンCの切り札というに相応しい活躍を見せている。

2点リードを追いつかれた状況から、値千金のゴール。

 試合は、サンダーランドが2点差を追いつく展開。マンCは、4日前の第19節バーンリー戦(2-2)から2試合連続で2点のリードをふいにした恰好だ。再び引分けに終われば、3ポイント差に縮めていた首位チェルシーとの差が5ポイントに開くと同時に、チームのムードが低下する恐れがあった。

 しかし、73分にランパードがマンCに勝越し点をもたらした。当日の他会場でチェルシーが大量5失点で敗れたことから、勝ち点と得失点差の双方で首位タイ浮上を可能にするゴールとなった。近距離でクロスに合わせたヘディングは、サンダーランド守備陣のマークにも問題がある。とはいえ、然るべき時にゴール前の然るべき所にいたが故のゴール。

 この日のランパードは、相手GKのセーブがなければ、左足と右足からのシュート1本ずつでハットトリックを達成しているところだった。チェルシー時代に「ストライカーばり」と称された得点感覚は鈍っていない。

「主軸」ではないものの、貢献度はまさに主力級。

 もちろん現在のランパードは、マンCの「主軸」ではあり得ない。リーグ戦での先発は20試合を消化した時点で3試合のみ。得点数も出場15試合で5得点に留まっている。但し、チームへの貢献度は「主力」級だ。国内外で優勝経験が豊富な歴戦の強者は、勝負強さも相変わらず。5点中の3点がポイント直結のゴールなのだ。

 ランパードがいなければ、マンCはチェルシーに7ポイント離された2位で後半戦をスタートすることになっていた。

 そのためメディアでは、昨季末にランパードを引き留めなかったチェルシーが「ミスを犯した」と指摘する声がある。たしかにランパードは、古巣が今季初めてポイントを落とした第5節マンC対チェルシー(1-1)で、途中出場から終了間際に同点ゴールを決めてもいる。

 しかし、放出を失敗と見なすのはいき過ぎだろう。現在のチェルシーにもう1名センターハーフが必要だとすれば、それはネマニャ・マティッチの競争相手。つまり、実力派の純粋なボランチだ。例えば、バルセロナからの獲得の噂が浮かんでは消えるセルヒオ・ブスケッツのような人材であり、ランパードのような攻撃的MFではない。

【次ページ】 マンCの手法は裏技? 裏口?

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