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世界最高の選手を生んだ離島の逞しい商業戦略。
~ロナウド色に染まるマデイラ島~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byAFLO

posted2015/01/11 10:30

世界最高の選手を生んだ離島の逞しい商業戦略。~ロナウド色に染まるマデイラ島~<Number Web> photograph by AFLO

人口約25万人という小さな島から生まれた英雄を讃えるため、島内には銅像が建立された。

 2015年1月12日に発表されるバロンドールはクリスティアーノ・ロナウドの2年連続受賞が有力視されているが、それを誰よりも強く願っているのが故郷マデイラ島の人々だ。

 リスボンから南西へ1000km、大西洋に浮かぶマデイラ島は温暖な気候に恵まれ、海に山と自然も豊富で、世界遺産にも登録されている。世界からクルーズ船も立ち寄る人気の観光地のひとつだ。

 しかし数年前の経済危機で大きな影響を受け、失業者が増加。島の主な産業は観光と農漁業で、経済基盤は本土と比べて脆弱だった。そんな中で人々が考えたのがロナウドを使った観光業の活性化だ。

 マデイラ自治州観光局はマデイラを世界に広めるキャンペーンにロナウドを起用し、マドリードなど各地で島の魅力をアピールした。ロナウドのミュージアムもオープンし、彼が過去に獲得したバロンドールを展示。フンシャル市長のパウロ・カフォフォは「地元出身のロナウドのミュージアムは観光面から見てもプラスだ。市をあげてサポートする」と町の英雄を上手く利用する考えを見せている。

政府観光局も中国をターゲットにキャンペーンを実施。

 ロナウドを島の広告塔に起用すれば、全世界に広がる彼のTwitterやFacebookのフォロワーにマデイラを知ってもらうこともできる。ロナウドは現在世界で最も多くSNSのフォロワーを抱えるサッカー選手で、FBでは1億人を超える。マデイラ自治州観光局のFBフォロワーは6万8000人に過ぎず、ロナウドというブランドを利用した方が独自にやるよりも大きな効果が見込めるのである。

 島の取り組みには本土のポルトガル政府観光局も続いた。ロナウド人気が高く、'14年の観光客数が前年比69%増と成長率の高い中国にターゲットを絞り、ロナウドを起用したキャンペーンを実施。カバコ・シウバ大統領は「ロナウドのキャンペーン起用には15万ユーロかかったが、これは投資だ」と、観光客増に繋がれ充分ペイできる見通しを示した。

 ロナウドが2年連続でバロンドール受賞となれば、さらにロナウド・ブランドの価値も上がり、結果的にそれはマデイラとポルトガルの宣伝にも繋がれば、3つ目のバロンドールが飾られることになる島のミュージアムは、'15年には町の中心に拡大して移転されるという。島の“ロナウド色”はさらに強まっていくだろう。

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