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4年間昇格を阻んだ千葉の“性格”。
「関塚効果」はJ1復帰をもたらすか。
posted2014/12/05 10:50
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
過去4年にわたってJ1昇格を阻んできた“性格”を、ジェフユナイテッド千葉はようやく変えつつある。
古豪のJ2降格が驚きを伴うニュースとして発信されたのは、今から5年前のことだった。
失意のまま迎えたJ2初年度の2010年は4位、2011年は6位と低迷し、2012年はリーグ戦を5位で終えて昇格プレーオフ決勝で敗退。昨シーズンも同じく5位でリーグ戦を終え、プレーオフ準決勝で徳島ヴォルティスに阻まれ、決勝進出はならなかった。
過去2年連続でプレーオフ敗退を強いられたため「あと一歩」の印象が強いが、毎年のように優勝候補に挙げられながら、J2における結果は初年度の4位が最高成績。「リーグ屈指の戦力」と評されたチームの“上”には、いつも3つ以上のクラブが存在していた。
つまりJ2で過ごした4年間は、J1昇格まで「あと一歩」だったわけではない。アウェーで勝てない。連勝できない。ここぞというゲームをものにできない。毎年のように指揮官が代わり、システムやスタイルが定まらない。全盛期と言えるイビチャ・オシム監督時代と比較すれば、いくつもの「ない」が浮き彫りになる。
迎えたJ2在籍5年目の今シーズンも、前半戦は低迷の一途をたどった。6月28日の第20節、松本に敗れると13位に転落。クラブは昨シーズンから指揮を執った鈴木淳前監督を解任し、地元千葉出身で鹿島、川崎、日本代表、五輪代表などでコーチや監督を歴任してきた関塚隆を新監督に迎え入れた。そしてこれを機に、チームの“性格”に少しずつ変化が生じ始めた。
「関塚効果」の根源は、密なコミュニケーション。
アウェーでも勝てる。連勝もできる。ここぞというゲームをものにできる。
先制されても逆転できる。システムやスタイルが定まったことで各ポジションの役割が明確になり、チーム内の競争力が高まる。急激にではなく、少しずつ「ない」を「ある」に変えていく過程において、順位は自然と上昇した。そうして手にした過去5年で最高位の3位という成績は、このチームにとって非常に大きな意味を持つ。何より、取り戻したかった「自信」を、千葉はようやく手に入れつつある。
指揮官が言う。
「確かに、山形には勢いがある。でも、我々も同じように結果を積み重ね、勝点を積み重ねて3位という結果を勝ち取ってきた。そういう意味では、受けに回ることなく、自信と誇りを持って堂々と戦えばいい。絶対に負けられないという強い気持ちを持って」
話を聞いたのは、決戦を6日後に控えた12月1日。この1週間でどんなアプローチをするのかと問うと、監督としてのスタイルと人柄を物語るこんな答えが返ってきた。
「今から本格的にやったら疲れちゃいますよ。まあ、選手の顔色やトレーニングの雰囲気を見ながら、グッと締めたほうがいいのか、それとも緩めたほうがいいのか、そういうところを判断します。
時間は限られているから、『何をしなきゃいけないか』『自分たちは何を積み上げてきたのか』を徹底して確認することになると思いますけど、具体的にどうアプローチするかについては選手の表情や雰囲気次第ですね」
直接的か間接的かを問わない、選手との密なコミュニケーション――。それこそが、選手たちが口を揃えて発する「関塚効果」の根源にある。