Sports Graphic NumberBACK NUMBER

<代表監督からオーナーへ> 岡田武史 「今治から日本を変える」 

text by

Number編集部

Number編集部Sports Graphic Number

PROFILE

photograph byRaita Yamamoto

posted2014/12/08 11:30

2度のW杯で日本代表監督を務めた知将が発表した、
愛媛県の社会人チーム「FC今治」でのオーナー就任。
Jクラブからのオファーを断っての選択の背後には
日本サッカー再興へ懸ける熱い思いと、ブラジルW杯で
世界最前線の戦いを見て気付いたアイデアがあった。

――岡田さんは、1998年のフランス、そして2010年の南アフリカと、日本代表を率いて2度のW杯を戦い、'12年からは中国のクラブチームの監督を務められました。昨年帰国し、この秋、日本で新たに選んだ戦いの場は、日本代表でもJリーグでもなく、愛媛県今治市に本拠地を置く社会人チーム「FC今治」でした。しかも監督ではなく、クラブの株を51%取得してのオーナー就任です。驚いた人も多かったと思いますが。

「これまで使っていた脳みそとはまったく違うところを動かす毎日で、一日が終わるとぐったり(笑)。でも刺激的なことばかりで、わくわくしているというのが本音ですね。決断したのはW杯ブラジル大会が終わってからなので、実質まだ数カ月。そこから今まで、突っ走ってきました」

日本サッカーの「型」は、クラブから生まれるべき。

――以前から、サッカーチームの運営に携わりたいと考えていたのですか。

「まさか(笑)。ただ、Jリーグや日本代表の監督をしたり、解説者として各国の試合を見たりして、『日本のサッカーはこのままでいいのか』という疑問は大きくなっていました。そのためにもう一度、サッカーについて突き詰めて考えるためにいろいろな人と話すうち、日本のサッカーはこういうものだという『型』が必要だと感じるようになっていたんです。でも、それは代表監督や日本サッカー協会が作るものでもない。むしろ、クラブから生まれるべき時代が来ていると思います」

――そう感じたきっかけは。

「2010年のW杯を制したスペイン代表の主力には、バルサの選手が5人いた。今年優勝したドイツ代表は、バイエルンの選手が多数を占めている。スペインもドイツも、タイトルから遠ざかっていた時代は、“その国のサッカー”を作ろうと協会や代表監督が試行錯誤していたけど、結局はクラブのサッカーが代表に浸透して世界を制した。その流れを見ていると、日本も代表の強化を協会の責任にするのではなく、もっと小さいところから、僕らサッカーに携わる人間が責任感を持って動くべきじゃないかと感じたんです」

【次ページ】 社会人チームのFC今治と岡田武史を結んだ縁とは?

1 2 3 NEXT
1/3ページ

ページトップ