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ファーストサーブと「5~9打」。
錦織圭の強さを示す2つのデータ。 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2014/11/14 16:30

ファーストサーブと「5~9打」。錦織圭の強さを示す2つのデータ。<Number Web> photograph by AFLO

ファーストサーブをテンポよく決め、ネットにも果敢に詰めた錦織圭。歴代最高のファイナルセットでの勝率を誇る粘り強さは、この日も発揮された。

5~9打のラリーで圧勝した錦織圭。

 そしてもうひとつ、「粘着系」のフェレールに対して、早めにポイントを取るのは非常に重要になる。体力の消耗を防げるだけでなく、自分のリズムで試合を進められる。

 フェレール戦の打数ごとのポイントを見てみると……。

●5打以下
錦織 47   フェレール 48

●5~9打
錦織 33   フェレール 18

●9打~
錦織 10   フェレール 12

 ここから何が読み取れるかというと、5打以下でポイントが取れる場合は、サーブからの流れが多い。

 反対に、長期戦、ラリーが2桁に達してしまうと、フェレールの足が生きる。この試合、フェレールの走行距離は2294mもあった(錦織は1811m)。

 錦織はラリーが5打以上となり「中盤戦」に入るところで、うまく仕掛けることが出来た。左右に揺さぶるだけではフェレールは拾ってくるので、「前後」という動きを取り入れていたのも憎い。

 その結果、錦織のウィナーの数はフェレールの14本に対して、41本もあった。早めの仕掛けの勝利である。

 さて、準決勝の相手はジョコビッチになりそうだが、彼は戦略、スキルの面でもバランスの取れたプレーヤーだ。

 ラリーの序盤をしのぎ、「5打以上」の混戦に持ち込みたいところだ。

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錦織圭
ダビド・フェレール

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