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女子ゴルフがバブル期を超える好況!
なぜ試合&ギャラリーが増えるのか。 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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posted2014/11/06 10:40

女子ゴルフがバブル期を超える好況!なぜ試合&ギャラリーが増えるのか。<Number Web> photograph by AFLO

勝みなみは鹿児島高校在学中の16歳。最年少記録を次々と打ち立てている彼女だが、さらに下の世代が力をつけ、その座を虎視眈々と狙っている。

バブル絶頂期と同じ、年間MAXの39試合。

 年間39試合というのは、3月に開幕して11月まで、すべての週末に試合が組まれるということを意味しており、気候の面から考えて、これ以上試合を増やすことはできない。つまり、年間の試合数としてMAXの状況だ。

 この「年間39試合」は、女子ゴルフの日本ツアーでは1989年から1992年に記録して以来のことになる。1989年は、日経平均株価が史上最高額を記録した、いわゆるバブル経済の絶頂期だった。そこから、景気の後退局面が始まった時期に、年間39試合というピークの時期があったわけだ。日本の企業全体として、まだスポーツへの投資に余裕のあった時代だったと言えるだろう。

 来年、再び39試合のピークに達するというのは、バブル経済絶頂期の当時とは意味合いがまったく違う。実際、男子ゴルフの日本ツアーは、昨年の25試合から今年は24試合と減少している。プロ野球においても、交流戦の優勝賞金が、昨年までの5000万円から3000万円に減額になったり、企業によるスポーツへの投資は、全体的に上向きの状況とは言えない。その中で、女子ゴルフの試合数は増加しているのである。

年間賞金総額も2年連続で史上最高額の32億円超。

 しかも、1989年から1992年当時の女子ゴルフは、1大会の賞金総額が3000万円から6000万円で、現在よりずっと安かった。現在は、1大会6000万円から1億4000万円である。これは日本の経済状況がインフレだから上がったわけではない。1992年当時と現在で、物価はほとんど変わっていない。民間の平均給与などはむしろ下がっている中、女子ゴルフの賞金額は大幅に上がっているのである。

 それだけ高い賞金額でも、大会スポンサーが増えてきたというのは、それだけ女子ゴルフのトーナメントが、企業にとって魅力があるということだ。

 年間の賞金総額も今年は32億5000万円で、2年連続での史上最高額だった。試合数が増えることで、来年はさらに上がるのは間違いない。

 年間の獲得賞金額が2000万円を超えた選手は、1992年には33人だけだったが、昨年は47人、今年は11月3日時点で、すでに45人に達している。近年、日本のスポーツで女子ゴルフほど健全に成長してきたプロスポーツ団体はほかにないと言っていいだろう。

【次ページ】 男子ゴルフほど、米ツアーとの差もない。

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