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12球団にオススメの監督はこの人だ!
タイプ別、指揮官選びの原則とは。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/09/26 10:40

12球団にオススメの監督はこの人だ!タイプ別、指揮官選びの原則とは。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2012年のリーグ優勝以降、昨季こそ最下位に沈むものの、今季はリーグ3位に押し戻している日本ハム・栗山英樹監督。大谷翔平の二刀流も結果が出始めている中、「名監督」としての地位を保てるか。

12球団におすすめの監督は誰?

 そのチームが直面している問題によって、人選は変ってくる。たとえば長期低迷している球団には、劇薬効果の期待できるスター監督、チーム力が安定している球団には、内情をよく知るコーチや二軍監督からの昇格が最も説得力がある。

 広岡、野村、星野が敢行したチーム改革を思い返してほしい。広岡は選手の食生活にまで口を出し、野村は考える野球を根づかせるためにミーティングを繰り返し、星野は負け犬根性を払拭するため大胆な選手の入れ替えを実行した。

 広岡が監督に就任する以前の西武は14年間でAクラスが1回、野村が就任する以前のヤクルトは11年間でAクラスが1回、星野が就任する以前の阪神は15年間でAクラスが1回という札付きの弱小球団だった。それが今では、3年に1、2回の割合でCSに進出するくらいのチームになった。スター監督の劇薬効果は大である。

 ここまでの考察から12球団のチーム事情に合った指導者像を寸評風にまとめてみた。

◇巨人……チームは新旧交代期の真っただ中。力の衰えが見られる捕手、二塁、三塁に後継候補を抜擢できる劇薬効果のあるスター監督が望ましい。OBの広澤克実、槙原寛己など。

◇広島……安定期ではあるが、主力候補が乱立気味なので、適材適所に人材を配する処理能力に長けた指導者が望ましい。内部昇格なら緒方孝市、新井宏昌、2年前までコーチだった大野豊。

◇阪神……主力選手の年齢的後退が顕著。抜擢型はもちろん、FA、トレードをやりすぎるフロント上層部にモノが言える実力者であることも条件。岡田彰布が最適任者。

◇DeNA……外国人とベテランが中心なので若手抜擢型の人材、とくに投手に目配りできる指導者が求められている。中畑清監督を含め牛島和彦、吉井理人、土肥義弘など。

◇中日……主力選手の加齢が阪神以上に深刻。思い切った新旧交代に踏み切れる指導者が最適。落合博満GMの再登板以外では、在野期間が長いOB谷沢健一の采配を見てみたい。

◇ヤクルト……投手力の整備が急務。有力な真中満以外では'07年限りでユニホームを脱いだ古田敦也。'06~'07年はベテラン偏重の采配が裏目に出たので新境地に期待。

◇ソフトバンク……ベテラン・中堅・若手の年齢的バランスが取れ、実力も文句なしの布陣。秋山幸二監督以外ではOBで侍ジャパン代表監督の小久保裕紀。

◇オリックス……金子千尋のFA移籍が濃厚で、再編が必至の投手陣に強い人材。内部昇格組をスター監督に育て上げている球団なので、森脇浩司監督以外では福良淳一ヘッドが適任。

◇日本ハム……生え抜き云々はまったく考慮しない球団で、能力至上主義がモットー。田口壮、初芝清、宮本慎也と過去のしがらみに囚われず、能力だけで人選できる体質が貴重。

◇ロッテ……24歳未満の若手が極端に少ない年齢構成で、一軍と二軍の力量差が最も小さい球団。そういう中でも若手抜擢を敢行できる人材がほしい。OBでは初芝清、与田剛。

◇西武……OB、生え抜きにこだわらないパ・リーグにあって比較的OB監督が多い球団。有力な潮崎哲也以外では辻発彦、高木大成、佐々木誠の監督ぶりを見てみたい。

◇楽天……内部昇格が一度もない球団だが、抜擢された若手が安定勢力になりつつあるので、内部昇格組のほうがチーム事情に合っている。大久保二軍監督はいい人選だと思う。

 監督候補としていろいろ名前を挙げたが、候補者を選んだポイントはただ一点、真の野球好きであること。NPBの人材にとどまらず、社会人野球にも目配りした。初芝清(セガサミー監督)、佐々木誠(NTT西日本監督)という具合である。球団フロントにはさらに広い視野に目を向け、眠っている人材を掘り起こしてもらいたい。

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