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独立に揺れるスコットランド。祖国への愛は何をもたらすか。
~欧州サッカーにも大きく影響?~ 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2014/09/18 10:00

独立に揺れるスコットランド。祖国への愛は何をもたらすか。~欧州サッカーにも大きく影響?~<Number Web> photograph by AFLO

9月に入って行なわれた世論調査でははじめて独立賛成派が反対派を上回る結果となった。

 9月18日、スコットランドで英国からの独立を問う住民投票が行なわれる。北海油田、通貨ポンド、負債、EUなど、独立によるメリットとデメリットが議論される中、国民の生活の一部となっているサッカーも投票の鍵を握っている。

 元々スコットランドのサッカーファンはナショナリズムを意識する人が多く、ハンプデンパークで行なわれる代表戦では常にスタンドが紺色のスコットランド国旗で埋め尽くされる。

 デイリーレコード紙が報じた世論調査では、国内2大クラブ、セルティックとレンジャーズのファンの過半数が独立賛成派との結果がでている。犬猿の仲にある2クラブのファンたちだが、少なくとも独立を巡っては団結。“オールドファーム・ユナイテッド”と呼ばれるこの動きはSNSなどを駆使して広がっている。2大クラブのファンは国内で数十万人にも及ぶ大票田で、彼らの意見は結果を充分に左右しうるのだ。

独立すれば「EU圏外枠」となり、デメリットの可能性も。

 一方で、独立反対を訴えるサッカー関係者も多い。前マンチェスター・U監督のデイビッド・モイーズや元リバプールのアラン・ハンセンら16人の元選手や監督が、EURO2016予選のドイツ戦を前に公式声明を出し独立反対を呼びかけた。これらの反対意見にもあるように、サッカー界にとって、独立によるマイナス面は無視できない。

 最大の懸念は独立後のEU加盟が不透明な点だ。仮にEU加盟に時間を要すようであれば、その数年間で自国サッカーの弱体化が予測される。スコットランド人選手は南米選手と同じ「EU圏外枠」となり、プレミアリーグや他の欧州リーグに移籍する際に“スコットランド国籍”が不利に働き、より高いレベルへの挑戦が難しくなってしまう。外国から「EU外」スコットランドへの移籍も同じで、自国リーグに入る外国人選手も減るだろう。

 スコットランドのスタジアムを訪れて気付かされるのは、祖国を愛する感情に流されるままに独立を叫ぶ人が多いということだ。彼らのサッカーにも通ずる、ややこしい戦術や守備を考えずにぶつかっていく、その真っすぐな思いは投票にどう影響するか。独立はこの国のサッカーの未来をも左右する。

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