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初出場の全米で見えたダニエル太郎の可能性。
~世界6位との「小さい差」とは~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2014/09/08 10:00

初出場の全米で見えたダニエル太郎の可能性。~世界6位との「小さい差」とは~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

ラオニッチの高速サーブに対し、驚異的なフットワークで食らいついたが最後は力尽きた。

 四大大会初出場となった全米オープン。世界ランク6位のミロシュ・ラオニッチとの1回戦を「楽しみ」と話していたダニエル太郎だったが、3セット連取を許して敗退、大舞台を満喫というわけにはいかなかった。

 サービスゲームの力強さが勝負の分かれ目だった。「サーブが全然返せなかったのがくやしい」とダニエル。リターンがうまく返れば得意のストローク戦に持ち込めるのだが、相手のサーブが一枚上手だった。最速で225kmの高速サーブに、ダニエルは20本のノータッチエースを許した。リターンは2本に1本の割合でしか相手コートに返らなかった。

 ただ、会見で世界ランク6位との差をどう感じたかと聞かれたダニエルは、独特の表現で切り返した。

「あまり差は感じなかった。その小さい差がデカイと思うんですけど……。ベースラインでは全然普通にできていると思うので、サーブがもうちょっとうまくなって、トップの選手にもリターンを返せるようになれば、ポイントが取れるようになってチャンスが出てくると思う」

「僕はもっとうまくなるスペースがたくさんある」

 日本で幼少期を過ごし14歳からスペイン在住のダニエル、実は日本語より父親の母国語である英語のほうが得意だ。「差は感じなかった」と言えてしまえるのも、欧米式思考のなせるワザか。いや、実際、手応えがあったに違いない。持ち前の粘りで強打をしのぎ、逆襲のチャンスを探った。最後の最後に相手のサービスゲームを初めて破り、第3セットはタイブレークに持ち込んだ。勢い余ってカメラマン席に突入するガッツには、観客も盛大な声援で応えた。やれるだけのことはやったという自負があるから、ポジティブに振り返ることができるのだ。

 190cm、76kgの体はいかにも華奢で、フォアの攻撃力はやや物足りない。それでいて、四大大会の予選は4度目の挑戦で早くもクリア。2月のチリのツアー大会では予選から5試合を勝ち抜き、ベスト8入りを果たしている。彼の魅力とは、ここ一番での強さと伸びしろへの期待だろう。本人も英語からの直訳のような日本語でこう話している。

「僕はもっとうまくなるスペースがたくさんあるから、それが楽しみです」

 21歳、上々の四大大会デビュー。初勝利もそう遠くはないだろう。

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