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「全英は2番アイアン」は本当なのか?
松山、石川が貫く定説破りの“信念”。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byJun Hiraoka

posted2014/07/17 11:25

「全英は2番アイアン」は本当なのか?松山、石川が貫く定説破りの“信念”。<Number Web> photograph by Jun Hiraoka

昨年の全英で6位と好成績を残した松山英樹。昨年の活躍もあって英国内では松山の評判が高まっており、パワーランキング(優勝予想)でも上位にランクインしている。

メディアが報じた「松山の2番アイアン」。

 面白いことに、そんなスコットの言葉は、まるで松山英樹の姿勢を描写しているかのようだった。昨年大会で初出場にして6位に食い込んだ松山は、今季すでに米ツアーのメモリアル・トーナメントで初勝利を挙げ、次なる目標をメジャー制覇に置いている。

 米国から一旦帰国し、日本からロイヤルリバプールに乗り込む際「松山は全英用の頼もしい武器として2番アイアンを携えて渡英した」というストーリーは、すぐさま日本メディアによって大きく報じられた。

 だが、現地で練習を重ねた松山は、開幕を前にして、こう言った。

「風が変わればドライバーも使う。風によって、自分が一番いいと思う選択肢で行く。いつもそうですよ。“全英だから”ということではない」

メディアの作った「流行語」に捉われない。

 メジャーのようなビッグ大会を迎えるとき、あるいは全英オープンのように通常とは異なる特殊な状況下での大会に挑むとき、「○○対策」「○○用の武器」と銘打って大きく報じる手法は日本のスポーツ報道の得意技。程度の差はさておき、世界のメディアも大きくは変わらない。開幕前のロイヤルリバプールで「2番アイアン」が流行語と化していたのは、そこをメディアが強調したからという面もある。

 だが、そうやって氾濫する情報にとらわれ、左右され、大会への備え方や手にする武器を特別視すればするほど、いろんなことが非日常化して平常心が失われ、いつもの自分、いつもの技術を発揮できずに自滅するリスクが高まっていく。

 それならば、そんなリスクは避けたほうがいい。いつもと変わらぬ日常の中でこそ、日頃の努力の成果が発揮でき、自分ならではのゴルフができる。特別なことはあえてせず、いつも通りの日常の中でチャンスを待ち、いざ到来した好機こそを逃さずに生かす――その姿勢が、スコットにも松山にも共通していることが、なんとも興味深い。

【次ページ】 練習ラウンドでドライバーを多用した石川遼。

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