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2年ぶりの優勝を契機に、石川遼らしさを取り戻せ。
~欠点克服以上に大事なもの~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

photograph byTaku Miyamoto

posted2014/07/18 10:00

セガサミーカップ優勝で全英オープンに2年ぶり5度目の出場が決定。上位進出を誓った。

セガサミーカップ優勝で全英オープンに2年ぶり5度目の出場が決定。上位進出を誓った。

 最近の石川遼を見ていて、ふとジャンボ尾崎の言葉を思い出した。

 かつて尾崎は僕に「小さくまとまりたくない。もっと大きな自分でいたい。大きなゴルフがしたい」と言っていた。

 それは、彼が30代前半に大きなスランプに陥っていた真っ最中に出て来た言葉だった。 目先の成績を意識しすぎると、自分が目指すゴルフが小さくなってしまう。スコアをまとめたい、予選落ちしたくないという気持ちが先行して本来目指している理想的な完成形が希薄になり、自分のゴルフの全体像を俯瞰して見ることができなくなるのだ。

 石川は、'09年に18歳で史上最年少の賞金王を獲得すると、'13年からは「世界を目指す」と言って、同年代のライバル松山英樹よりも先に、米ツアーという大海に本格参戦することを決めた。

 だが、自分に足りないことばかりに目が行き過ぎて、ついつい「足りない、足りない」とあれもこれも追い求めすぎた結果、いつしかプレーにも生彩を欠き始めていた。

 もちろん向上心や探究心は必要なことだが、理想を追い求め、大きなゴルフがしたいと思うがゆえに、小さくまとまってしまうという悪循環に陥っていたのが、米ツアー挑戦後の石川の姿ではなかっただろうか。

スイングの技術は確実に精度を上げている。

 一方、昨年の賞金王に輝き、石川に遅れて米ツアーに参戦した松山は早くも今年6月のメモリアル・トーナメントで初優勝を果たした。いつしか、石川は松山の後塵を拝することになっていた。

 実戦で技術を吸収していくタイプの松山に対して、石川はスイングの完成度を追求してゴルフを組み立てていくタイプと言える。だが、スイングの精度を重視するあまり、自身の欠点に目がいってしまい、ドツボにはまるというケースも少なくない。ショートゲームは格段に上達しているし、スイングの技術も確実に精度を上げているのだから、その積み重ねにもっと自信を持てばよいのに……そう思っていた矢先のセガサミーカップ優勝だった。

 日本国内の大会ではあるが、実に約2年ぶりの勝利。この“結果”をきっかけにして、前向きな姿勢で大きなゴルフを目指してほしい。

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